緑の瞳のアマリリス(ジェイン・アン・クレンツ)

ファンタジー小説があって、主役が少女だった場合、高い確率で、ハーレクイン系構造だったりする。
やっぱり、ファンタジー小説の必要アイテムである王族とか貴族という物は、ハーレクイン小説とも馴染みますから。
エリザベス・ヘイドンのラプソディ-血脈の子-シリーズとか、ダイアナ・マーセラスのシャーリアの魔女シリーズとか、好きですよ。
少女が主役でなくても、アン・マキャフリィのパーンの竜騎士シリーズや、ピアズ・アンソニィのザンスシリーズだって、基本的にはハーレクイン系。
日本には少女マンガという伝統もありますしね。
SFには意外と少ないというイメージでしたが、最近はキャサリン・アサロのシリーズがSFですが、きっちり全巻ハーレクイン構造です。
で、この本もそれ系かな、超能力戦とか好きだしね(眉村卓不定エスパーとか、柴田昌弘の赤い牙とか、好きだったなー。古いけど)。
 
しかし、読み出して、ここまでハーレクイン的な構造で良いのかと思ったこの本。
ハーレクイン小説は読んだことないが、ハーレクイン小説を原作にしたマンガはよく見かける。
超能力の扱いはSFですが、ストーリー展開とキャラクター造詣(堅物・秘書的性格・前の恋愛でしょうもない奴に浮気されている美女と、野生的・最初の結婚は不幸だった・孤独・お金持ち・強引な社長)が、典型的なハーレクイン。
これがハヤカワSFでいいのか、と思った。
読み終えて、帯やあとがきを見たら、ロマンス小説として出版されていた作品を、ハヤカワSFから出しただけだった。
ハヤカワだからと手を出した男性読者は引くんじゃないだろうか。
 
ストーリーは単純明快。
最高レベルの超能力者ルーカスが、最高レベルのプリズム(超能力の焦点をあわせる能力の持ち主)を求めてエージェントに出向いたら、美女のアマリリスを紹介される。
最初の事件はルーカスがらみだが、後はアマリリスが自分の恩師の死の謎を突き止めるため、ルーカスを引きずり込むという内容。
まぁ、面白いですよぉ。読み返すとかないけど、エンタテイメントのツボを抑えてますから。
恐らく、ルーカスの親友たち2人(同じく最高レベルの超能力を持つ変人)の恋愛も作品になっていることでしょう。
わざわざハヤカワSFで940円も取らなくても良かったような気もしたけど。
 

緑の瞳のアマリリス (ハヤカワ文庫SF ク 12-1)

緑の瞳のアマリリス (ハヤカワ文庫SF ク 12-1)