otobokecat’s blog

たまに本を読む猫

温故知新

君たちはどう生きるか

君たちはどう生きるか

この本が注目されているようです。本屋として大口の注文が入り、取次に無理を言ってなんとか納品しました。納品したのはこちら↑ですが、私には岩波文庫↓の方が馴染みがあります。
君たちはどう生きるか (岩波文庫)

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

また年配の方から、再び読んでみたいが、文庫は字が小さく本も古く焼けているので見づらい、もう少し読みやすいのはないか?ということで探したのが岩波文庫のワイド版です。
君たちはどう生きるか (ワイド版 岩波文庫)

君たちはどう生きるか (ワイド版 岩波文庫)

早速取り寄せてみてみましたが、なるほどこちらは版が大きいだけでなく、紙が白色で老眼の始まった年代にはこちらの方が見易いです。新装版には漫画の作者のイラストが入ってまさに現代風ですが、こちらは昭和の香りする脇田和の挿画です。そして、丸山真男氏の「世界」に掲載された著者吉野源三郎の没後追悼文も付載されています。しかもさらにそれに追記が付いています。
ワイド版は文庫とうたってはいても値段ははりますが、このあたりはちょっと面白いと思いました。

同じ内容でも、挿絵を変えたり、漫画にしたりすることで、日の目を見て、新たな読者が付くことはいいことだと思います。まさに「編集」です。
そもそも戦前1937年の「日本少国民文庫」の一冊として世に出てから、戦後吉野氏本人によって、数回改訂されていましたが、戦後70年以上たった今、またこの本に光が当たるということは、おそらく時代がこの本を求めているということなのだと思います。

つまり古典になったということなのでしょう。


 福永武彦玩草亭