カーボン・オフセットの可能性

New Hampshire Businesses for Social Responsibility (NHBSR)は5月11日に開催される2006年の春期会議によって排出が予想される二酸化炭素22,000ポンド(およそ2万トン)をCarbonfund.orgのサービスを使って「相殺」する.サービスの内容は,再生可能エネルギー支援や省エネプロジェクトなどである.結果として,二酸化炭素の排出が(プラスマイナスで)ゼロとなる.すなわち,「カーボン・フリー」あるいは「カーボン・ニュートラル」の達成である.値段は書かれていないが,あとで紹介する個人の単価を使うと,およそ11万ドルとなる.1200万円を超えるけっこうな額である.
近い将来,環境やCSR関連の学会や会議ではCarbonfund.orgのようなサービスを使ってカーボン・ニュートラルとするのが常識となるだろう.参加費の中にカーボン・オフセット代が含まれるか,スポンサーが提供することになる.どんな交通手段で参加するかによってカーボン・オフセット代に差が設けられるかもしれない.
もちろん,カーボン・フリーを売りにする会社だってでてくるかもしれない.今の「ゼロ・エミッション」は目に見えるものをゼロにしてるだけで二酸化炭素までゼロにしてるわけではない.カーボン・オフセットによって真の意味でのゼロ・エミッションを達成できる.製造業よりも研究機関やIT企業の方がやりやすそうだ.「はてな」ならやるかもね.
Carbonfund.orgでは個人でもカーボン・オフセットができる.自分の年間排出二酸化炭素量を計算することもできるし,典型的な(ここではアメリカ人)排出量を使ってもよい.例えばこんなオプションが用意されている.

  • $27.50・・・平均的なクルマ利用(年間5トン)
  • $55.00・・・直接的な排出(年間10トン)
  • $99.00・・・間接的な排出も含めたゼロカーボン(年間18トン)
  • $220.00・・・4人家族の直接的な排出(年間40トン)
  • $396.00・・・4人家族のゼロ・カーボン(年間72トン)

1トンあたり5.5ドルという価格設定は,現在の欧州での排出権取引価格(下がったところで1,700円程度)に比べてとても安い.例えば,年間1万キロを燃費12km/Lのクルマで走る人ならば,(ガソリン1Lあたり二酸化炭素2.3kgという環境家計簿の係数を使うと)二酸化炭素の排出量はおよそ1.9トンとなる.これは1200円程度でオフセットできてしまう(やっぱりなんか安いなあ).