panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

すっかり秋めくバンコク------クール・ジャパン!


  23日に雨期はあけると云われていた。気温はそれほど下がっていないかもしれない。でも空はぐっと高く青く澄んでいる。雲の白も印象的だ。風景が一層、インティメイトになって、心に染みる。どこか昔話のようなデジャヴュ的錯覚。雪が降った静かな朝のようだ。これが乾期というものか。11月になると、もっといいという。なるほど。事実、木陰に入ると、見事に涼しくなる。ヨーロッパと同じだ。いたたまれないほどの懐旧的心情にとらわれる。はじめての乾期に懐かしさを味わうのは、それが人間というものか。
  一方、実際の我輩は、どうやらシェムリアップの直射日光のせいで、顔黒(ガングロ)になった。帰ってバンコク在の人々の第一声は、一杯飲んだ赤ら顔オヤジというものだった。悲じぐね?。悲しくたって、悲しくたって、コートのなかでは平気なの♪♭♯。でもコートがないんだなあ、これが。
  クメール語タイ語の間断のない話しっぷりに辟易して(間抜け!)、テレビはNHK2局が主になった。そこでは日本の宣伝のような番組がいくつかあって、いま思いつくのは、クール・ジャパン、ビギンジャパノロジー、フォーシーズンズ・イン・ジャパンの3つだ。演劇人の鴻上なんとかが司会するクールは日本でもやってた記憶があるが、在日外人を呼んでの日本のクール(素敵)な部分を論じ合う式のもの。ビギンはピーター・バラカンの日本探訪。前にも触れた。日本の四季は英語のナレーションで日本の一地域をとりあげて、その美点を紹介するものである。確かに日本には当たり前に知っているだけに普段は意識の下に沈んで、高く評価されないような細々した工芸(たとえば備前焼西陣織)・芸術一般(書道・香道も)・技術(内視鏡は日本の発明)・制度(たとえば医療保険制度)・風景(しかもそれは人間の手によって多くは整備される)・名もなき人々の日々の努力や精進(とくにこれがないんじゃないのか、アジアには。普通の日本人の人間としての質の高さは、政治家連中など名の出るエリート層のふがいなさと相反する。もっと顕彰されるべきだ)など、自然も人工物も、あふれんばかりの創意と精緻と美しさに満ちている。
  番組を見ていると、なるほどそういう風につくられているのだが、それが分かっていても、云いしれぬ喜びと感動がふつふつとわいてくる。日本をもっときちんと顕彰=検証すべきだ。在日日本人・定住漂泊者、我輩も一歩下がって、そう思わざるを得ないバンコクの秋である。・・・でも鴻上が、、、。