DVD:ショーン・オブ・ザ・デッド(監督:エドガー・ライト)

ロンドンの家電製品店に勤める冴えないショーンは、その無気力で煮え切らない態度ゆえにガールフレンドのリズから振られてしまう。意気消沈したショーンだが、翌日起きてみると街中にゾンビがあふれていることに気づき、母親とリズを助け出すため居候のエドと共に奮闘するが…。

イギリスのコメディ監督エドガー・ライトである。おなじみのサイモン・ペッグニック・フロストも出てくる時点で、もうゆるゆるな雰囲気がダダ漏れである。とにかく女に振られてパブに行ってビール飲んでグダグダ、楽しい人生でなんである。『ゾンビ(原題:ドーン・オブ・ザ・デッド)』をパロディにした作品なんだそうな。
B級というか、やっていることは手堅いんだけども内容は妙にとぼけていてユルい。アメリカ製B級映画ならもっと直接的で下品にハジけたところがあるだろうに、イギリス製のこれは抑制が効いていてどこか上品だ。その分、くすぐりがあってブラックだけどな。開けっぴろげなバカにはすぐに飽きるしうんざりするだけだが、むっつりバカは味わい深い。この技術は高く、志は低くというのが大好きだ。
大げさな見得を切って賑々しく愛想を振りまくんではなく、本人たちがただ楽しいことをしているという感じのを観ているとくすくす笑いがこみ上げてくる。やってることは違うけど、水曜どうでしょうとノリが近いのかもしれない。ライトとペッグのコンビはテレビドラマの『SPACED 〜俺たちルームシェアリング〜』も妙な味わいがあって面白かった。手間をかけたユルさ加減は『ホット・ファズ −俺たちスーパーポリスメン!−』にも引き継がれ、更に磨きがかかっている。このまままた作ってくれるといいなぁ。