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映画『悪魔とダニエル・ジョンストン』(監督:ジェフ・フォイヤージーグ)観賞。★★★★★。
これは決して「精神病を患う孤高の天才シンガー・ソングライター」についてのドキュメンタリー映画などではない。あるビートルズ好きの少年が、様々な苦難に直面しながらも音楽と共に生き抜いていく姿を描いた、どこまでも普遍的な物語である。
つまり、おいらもダニエル・ジョンストンであり、あなたもダニエル・ジョンストンであるということ。映画を観ていて、「これは自分のことだ」と思わされる場面が何度もあった。だいたい、幼稚園児の時にテレビ東京で再放送されていた『アニメ・ザ・ビートルズ』によってハマったビートルズに今もこだわり続けているおいらが、同じく自身のポップ・ミュージックの原体験であるビートルズに今もこだわり続けているダニエル・ジョンストンのことを他人と思えるわけがねえだろ。ソニック・ユースのスティーヴ・シェリーとの会話の中で「Act Naturally」の歌詞を引用するダニエル・ジョンストン。数字の「9」の話になると「Revolution 9」を引用するダニエル・ジョンストン。録音部屋の片隅にビートルズ・マンスリー・ブックを置いているダニエル・ジョンストン……。
そして、歌によって自分をとことんまで曝け出していくダニエルの姿を見て、やはり彼は本当の意味でのブルース・シンガーであり、シンガー・ソングライターであると改めて思ったことだった。ヤベえ。思い出しただけで涙が止まらなくなりそうだ。必見。