Ben Lee/Love Is The Great Rebellion
★★★★★
近年はニューエイジ思想にハマりすぎて、『Deeper Into Dream』『Ayahuasca: Welcome To The Work』と作品がどんどんおかしな方向に進んでいたベン・リーだが、ワーナーへと移籍して『The Rebirth Of Venus』のポップ路線にやっと戻ってきた。先行シングルとなった「Big Love」は「ラジオ・スターの悲劇」のメロディを下敷きにしたウクレレ・テクノ・ソング、(ベン・リーの義理の父親でもある)ドノヴァンのかつての名曲「Happiness Runs」へオマージュを捧げた「Happiness」ではなんとドノヴァン本人がゲスト参加。ベンさんの嫁さんであるアイオン・スカイ(『セイ・エニシング』!)も参加した、過去と現在と未来が回りめぐる愛と反骨のポップ・アルバム。作品全体から漂ってくる吟遊詩人然とした佇まいも、ドノヴァンの後継者として生きていく覚悟を決めたかのようで感動的(「Don't Let The Fire Die(炎を絶やしてはならない)」でのバグパイプの使用はドノヴァンのルーツでもあるアイルランド音楽に対する敬意の表明だと思われる)。これは21世紀の『Barabajagal』だ! 全13曲53分。傑作。
↑名曲! ひたすらG→D→Cの循環進行というシンプルさも素晴らしい。ベン・リーは『Hey You. Yes You.』でダン・ジ・オートメイターとがっぷり四つに組んでアルバム制作を行ったこともあるくらいだから、(古いタイプのシンガー・ソングライターでありながら)ループ/循環進行の上で曲を作っていくのが抜群に上手いんすよね。それ以前にはMCビル風にサンプリングされた「Cigarettes Will Kill You」という名曲もあるし。
↑『The Rebirth Of Venus』収録の名曲「I Love Pop Music」もひたすらA→E→D→Eの循環進行だ。