もっと細かく、より深く

皆さん、ご無沙汰いたしております。いま、私はアメリカ・マサチューセッツ州ボストンにあるハーバード大学ヴィース研究所(Wyss Institute)のPeng Yin研究室でポスドクとして研究しています。

現在の研究テーマはざっくり言うと、DNAをツールとして使って、新しい顕微鏡テクノロジーを開発し、それを使って細胞核の中にある染色体の姿を細かく見てみよう、というものです。真面目に書けば、「DNAナノテクノロジーを用いた新規3D多色1分子局在顕微鏡法による細胞間期染色体構造の解明」です。

ヒトゲノム解読、バイオインフォマティクス、iPS細胞、次世代DNAシーケンサー、ゲノム編集。21世紀の生物学は、テクノロジーの進歩によって飛躍的に発展してきました。そしていま、これらに続くブレイクスルーの波が、生物学に押し寄せています。それが顕微鏡テクノロジーです。

ボストンに引っ越して、今日でちょうど2年が過ぎました。ちょうど区切りがよいこともあり、このブログを復活させる手始めとして、顕微鏡のいまと未来について、自分の研究も交えて解説してみようと思います。キーワードは「もっと細かく、より深く」。どうぞよろしくお願いします。


写真はDNAオリガミで作られたグリッド基板の超解像顕微鏡観察像。スケールバーは20ナノメートルを表す。