読了本

• 「わたしとトムおじさん」ハーフで帰国子女の帆奈は、事情があって両親とは離れ、日本で祖母と叔父と一緒に「明治たてもの村」に住んでいる。古い建物を移築しているこの村が帆奈は大好き。トムおじさんはそんなふるいものを直したり、真似して「にせもの」をつくる手先の器用なところがあったが、一方で他人と上手く口をきくことができないところもあった。そんなトムおじさんが、帆奈はまた大好きだった。日常の謎もあり、「うまくやっていくことのできない」人の話もあり、といった話だった。ううーん、私にはどこかぴったりはこないんだけど、こういうのが好きな人はいるだろうなあという感想。「東京バンドワゴン」がよかった人ならいいのでは。メフィスト賞作家とは思えない（笑）優しい物語でした。ひとつ、不満点。時系列を崩して描かれるのが、ちょっと違和感があった。素直に時系列でいってもいいんじゃないかなーと。あまりいい効果があるとも思えなかったので。あと、せっかく地図をつけたんだから、もっとたてもの村の中でのイベントがあった方がよかったなーと。別荘の話が一番好きだけど、それがちょっと不満でした。