雑草の季節
季節は春である。庭のあちこちから「ツクシ」が顔を出してきた。かわいい顔をしているが、これが長じて「スギナ」になるとは、子どものころは信じられなかった。
変身して正義の味方になるのならいいが、おもしろみないあのスギナというやつは無愛想で、しかもしぶとくてタフである。
それが野草・雑草の本領なのだろう。でも、多少サービス精神がないと嫌われる一方ではないか。
その点「ヒメオドリコソウ」はちゃんと考えている。踊り子というより、ウルトラマンに出てくる怪獣ガラモンに似ていると思うが、春らしいふんいきは持っているかもしれない。
「ホトケノザ」もよく見かける。そのまんまの「仏の座」である。よく見ると形が面妖で、造形の美というか、これもどこかの怪獣に似ているなぁ、と思ってしまうほど特徴的である。……なぜか怪獣を連想するのですよ。
ーー春になると、我が家のさほど広くない庭にも次々と雑草の花が咲く。
ちょうど今は「オオイヌノフグリ」も盛りである。「大犬の陰嚢」という名前の意味に反して、ルリ色の小さな花は群生して咲き、可憐でさえある。不幸なネーミングである。
名前といえば、雑草にはひどい名前のものが少なくない。同情を禁じ得ないが、しかし同情できないものもたまにある。
たとえば「ヘクソカズラ」。夏、日当たりのいい草地などに生えるつる性の植物である。白い小さなラッパのような花をつける。その花冠の中心部が紅紫色で、そのコントラストが少しどぎつい。
しかしなにぶん、屁と糞である。まあ、花に近づき匂いをかげば納得する。
「ママコノシリヌグイ」というタデ科の植物がある。夏の水辺などで見られるが、花はちょうど金平糖のような感じで、金平糖の尖った先端部分がピンク、基部は白である。
それにしてもよくこんな名前をつけられたものだ。そのネーミングセンスに脱帽? あるいは気の毒?
「ブタクサ」。夏から秋、道ばたなどどこにでも見られるアメリカ原産の雑草である。まさしく雑草らしい容姿とあつかましさは、ブタクサってかわいいね、などとはまず誰もいわない。さすがアメリカ産だ。
以上、ここで紹介したもの全部の写真を載せたいのだが、ヒメオドリコソウとホトケノザでごかんべん。あとは調べてみてください。(^_^)
(photo:上、ヒメオドリコソウ。下、ホトケノザ)