中曽根康弘氏の俳句に突っ込みを入れる

中曽根元首相:卒寿、2冊目句集 「埋火は赫く冴えたるままにして」

 中曽根康弘元首相は27日、90歳の誕生日に合わせ、俳句集「中曽根康弘句集2008」を出版し、東京都内で発表会見を開いた。旧制静岡高校在学中から最近までの461句を収録。首相在任中の1985年に1作目を出版して以来という。

とのこと。ふーん。
政治家で俳句やってる人というのはそれほど珍しくないそうだし、おそらく自費出版だろうから句集を出すこと自体はそれほど変わったことではないような気がする。
問題は、この続きの部分である。

 お気に入りの句は「埋火(うもれび)は赫(あか)く冴(さ)えたるままにして」。火鉢の中の炭火が翌朝になっても燃えている情景を詠んだといい、中曽根氏は「90歳にしてなお壮ということでしょうか」。

俳句始めて半年ちょっとの若造が生意気を言わせてもらうが、お気に入りにしちゃ、ちょっとつまらない句ではないかと。
まず最初に突っ込んでおくと、これは中曽根氏の間違いか記事を書いた記者の間違いかわからないが、「うもれび」ではなくて「うずみび」ではないのか。俳句歴が長い(のであろう)中曽根氏が季語を間違うとは思いがたいが、ちょっと気になるところである。
それはさておき、句の内容について。「赫く冴えたる」と見たところまではまだいいと思うのだが、言い切らずに「ままにして」としたところが落ち着かない。余韻を残そうとしたのかもしれないが、読みようによっては埋み火をそのまま放置するかのような印象を受ける。これではせっかくの発見が流れ去ってしまう(そもそも「発見」というほどのものか、という突っ込みもあるかと思うが、ここは譲っておくことにする)。
下五をこのままの形にするのであれば、上五を「埋火を」とすべきだろう。

埋火を赫く冴えたるままにして

これだと、「ままにして」に主体性が出るので、老政治家の情熱を表した心象句としての雰囲気が出てくる。「90歳にしてなお壮」というのなら、この方がいいと思う。
それでも、一物仕立ての句としてはやはりインパクトに欠けるし、下五の煮え切らなさはいかんともしがたいので、もうちょっとどうにかした方がいいのではないかと思うのだが、どうだろう。


さあ、生意気言ったぞー。
これで的はずれだったら、かなり恥ずかしいぞー(笑)。
つーか、ご本人にこの記事見られたら、怖いぞー(汗)。