信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス

信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)

信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)



信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス


ファンタジー小説であり、歴史上の織田信長とはかけ離れた「信長像」を楽しめる。

この宇月原晴明織田信長は、両性具有。
しかも、若き日の秀吉が「こんないい女、見たことがない」というほどの美貌だ。
この無二の存在と共に天下統一を目指していく秀吉や光秀、家康。
闇で信長を支える尭照。

ありきたりかもしれない。が。この設定が、あまりにも美味しい!
文章は翻訳調で、詩の如く言葉に神経が行き届き、美しい。
おどろおどろしい場面も文章の透明度が高いため、さらりと読むことができる。


そして、この物語には、もう一つ舞台がある。
1930年代のベルリンに滞在する詩人であり作家、演劇人であるアントナン・アルトーのもとに表れた謎の青年総見寺。彼は、220年代のローマ皇帝ヘリオガバルスと信長の繋がりを話し始める・・・

物語は、ベルリンと戦国時代が行きつ戻りつするので、大変読みづらい。

ワタシは、戦国編だけでいいよー!と叫びたくなった。