Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

調布七福神めぐり2013

今年も調布七福神めぐりに行ってきた。
折角同じことをやるので、今回は事前に七福神について少し調べてから行くことにした。
参考書は以下。(ページ数が示されているものは同書から)


読んで面白かったのは、七福神には序列があるということ。
もともと庶民の中で絶大な人気を誇ったのは恵比寿・大黒の二神。
最澄が中国より日本に伝え、自ら彫刻したのは、厳しい顔つきをした「三面大黒天」。この後、大国主命と混同され、にこやかな顔つきとなった大黒様は、いわゆる「福の神」として国民的な人気を集めるようになった。
全国の神社には、各地方の氏神様一社だけということはなく、摂社、末社に他の神様が祀られている。そういうときに、大黒様だけでは寂しいからということで、組み合わせて祀られたのが、やはり人気のあった恵比寿様。
七福神は、基本的にこの二人を軸に増えていくことになる。

大黒天、恵比寿、弁財天、毘沙門天、布袋

京都では一時期まで、この五福神が有名だったという。
しかし、この風習が江戸に来て六番目、七番目は何にしようかという話になる。そこで選ばれたのが中国道教のほうから引っ張ってきた、寿老人と福禄寿。
なお、大黒天、弁財天、毘沙門天と「天」がつく3つは仏教(インド)由来。*1布袋は中国の禅僧なので、七福神の中で日本の神様なのは恵比須だけとなる。
また、寿老人と福禄寿が同一人物であるため、毎年、残りの一人を六福が求めるという話が諸星大二郎の「六福神」だが、実際に、寿老人の代わりに入る神様としては吉祥天、猩々という七福神もあり、叶福助*2、お多福さんなども、七福神の候補に挙がっていたという。


また、今回初めて知ったが、福神漬は、原材料の野菜に、大根、なす、蕪、瓜、しそ、蓮根、刀豆(かたまめ)の七種類の野菜を使用しているため、七福神にちなんで名づけられたという。


さて、そんな七福神の薀蓄を合わせて調布七福神の写真を。
(時折画面に入っているよう太の服装が昨年と全く一緒ですが今年も行っています笑)

1.大黒天(西光寺)

  • 外見:烏帽子を被り、打ち出の小槌を手に持ち、大きな袋を背負う。米俵の上に立つ。
  • 台所の神様
  • インドのシヴァ神の化身の一つマハーカーラ。
  • 大国主命と混同されて、国民的な人気に。
  • 「大黒様の使わしめ」である鼠を従える
  • 恵方参り(縁日)は「子(ね)」の日

今回もスタートは西調布駅近くにある西光寺とした。近藤勇の座像があるお寺。11時からスタート。

2.恵比寿(大正寺)

  • 外見:釣竿を抱える
  • 商売繁盛の神様
  • 漢字は「夷」「戎」「胡」とも。
  • イザナミイザナギが結婚したときに最初に生まれた子(蛭子)に由来する
  • ゑびす宮全国三千余社の総本山が西宮神社(西宮のえべっさん
  • 恵比寿講=年に一度の大売り出し(西日本では1/10、東日本では1/20、10/20)

大正寺は、布多天神のすぐ近くにある寺で寝釈迦などもある。恵比寿様は小槌を叩いて参拝をするようになっている。

3.布袋(常性寺)

  • 外見:巨大な太鼓腹でいつも半裸の風体。大きな袋を担ぎ、子どもを連れ歩く放浪生活の乞食和尚。
  • 七福神の中で唯一実在の人物。(モデルは4人)p40
  • 弥勒菩薩の分身だといわれる。

布袋様の横に書かれた参拝の仕方には、「お腹を三度撫でる」の前に「大笑いをする」というのがあり、なかなか難しい。

4.福禄寿(祇園寺)

  • 外見:豊かな白髭をたくわえた背の低い老人の姿。頭から顎までが身長の半分ある。
  • 日本からは見えない竜骨座の中の「カノープス(寿星、南極老人星)」が中国で人格化されたもの。
  • 名前の由来は固有名詞ではなく、道教で理想とされる「福」「禄」「寿」から。(幸運と子孫に恵まれること・金銭に恵まれること・長生きすること)
  • 寿老人と同一人物

祇園寺には水琴窟がある。

5.毘沙門天深大寺

  • 外見:七福神の中でただ一人、甲冑に身を包んでいかめしい表情。
  • インドの財宝福徳を司る神様クベーラ
  • 仏教:多聞天(四天王の中でも最強の力を誇るとされ、北を守る)
  • 恵方参り(縁日)は「寅(とら)」の日

深大寺は、さすがに大勢の人出で賑わっていた。境内は広いが、毘沙門天自体は釈迦堂にある。たこ焼きと団子を食べて一休み。なお、鬼太郎茶屋の福袋は5000円という値段設定のためか、昨年と違って大幅に売れ残りがあった。

6.弁才天(明照院)

  • 外見:琵琶を抱く色白の美女
  • はじめは技芸の神様。その後、弁才天→弁財天とされ、福徳の神様として信仰されるようになった。
  • インドの河川・水の神様サラスヴァティー
  • 吉祥天と混同され、弁天様に統合
  • 水の神様であることから海辺や湖辺に祀られていることが多い(三弁天=江の島・竹生島厳島
  • 琵琶湖の名は、弁才天の持つ琵琶にその形が似ていることから名づけられたとされている。
  • 恵方参り(縁日)は「巳(み)」の日

調布七福神の中では、明照院と昌翁寺の二つは、やや他と離れている。去年はこの二つだけ後日ということにしたが、今回は一日で回ることができた。なお、調布七福神の中で、場所を迷うとしたらここ。来るときの坂道が厳しかったりするので要注意。
印を押してもらうときに、お宮の人から「昨年も七福神巡りをしたの?何かいいことがあった?」と聞かれ、よう太が「普通でした」と答える場面があった。

7.寿老人(昌翁寺)

  • 外見:黒い頭巾を被って杖をつく老人の姿
  • 福禄寿と同一人物

昨年と同じく昌翁寺をゴールとした。到着は15時頃。途中、深大寺でぶらぶらしたが、店に入って食事をとることはしなかったから、七福神を回るのに正味3時間半くらいはかかったことになる。今年もいいことがありますように。

参考(過去日記)

→読んで思い出したが、昨年2日間に分けたのは、自転車を使わずに走った自分の疲労が原因だと思う。あと、深大寺では全く同じたこ焼きやでたこ焼きを買っている。

→短編「六福神」について。漫画を読みなおしたけど、アイデアとしては、七福神薀蓄本から素直に作った話。それなのに諸星大二郎以外では成し得ない雰囲気を作り出しているのが凄い。

*1:前出の三面大黒天は、まさにこの3つの顔を持つ

*2:実在のモデルあり。1800年代には「八福神」との声もあったが、大黒様の眷属という扱いになったp72