三国志 曹操孟徳伝(宝島社)感想

  • 見た目

同じ別冊宝島で同じ価格の『僕たちの好きな三国志』よりもやや薄い。違いは20ページなんだが、それ以上に薄く感じます。でも中身はどちらもあるよ。

現在の曹操ブームの火付け役、王欣太蒼天航路』の特集。漫画評論家米沢嘉博さんのほかに、蒼天航路のファンサイト管理人の方々が執筆している。個人的に一番面白かったのはTATSUさんの『蒼天航路』は好きだけど蒼天の曹操は嫌いという人が結構いるという話。面白かったというか、ほっとした(いや、蒼天の曹操嫌いじゃないけどさ)。

  • 三国地図と年表

これがあると助かります。地図は主に曹操の戦場を記したもの。

  • 曹操の実力 実像編」

という編名ですが、曹操のことのみならず、後漢三国時代の制度や文化についての記事がたくさんあります。『僕たちの好きな三国志』が中国正史の「紀・伝」に当たるとするなら、この実像編は「志」に当たるといえる。
豪華な執筆メンバーを取り揃えた中で一番見ものなのは、坂出祥伸さんの「太平道五斗米道曹操の接点」かな。考古資料(曹氏宗族墓など)をつかって当時の道教の様子をしっかりと書いております。

  • 曹操の実力 戦闘編」

メイン部分では曹操の25の戦を図を駆使して解説してある。その他、軍団制度や武器・兵器の解説、魏武注孫子についての話など。

  • 全体を通して

期待通りの面白い本でした。例によって上級者の人には物足りないかもしれないけれど、『僕たちの好きな三国志』とあわせて二冊熟読すれば、普通の人と三国志話するのに不足はないと思います。
あと、誤字が多く、図表におかしいところも見受けられた。三国志の知識がある人が校正やらないと見つけにくいかも知れませんが。