急遽決定!トークイベント♪

sabaku_m2008-02-06

2/23(土)の21:15の回上映後に、ユーロスペースにて
甲斐田祐輔監督、江口のりこさん、ARATAさんによるトークイベントを行います!

公開初日に撮影中で舞台挨拶に御登壇できなかったARATAさん、いよいよユーロスペースにお越しになります!トークティーチインを行いますので、『砂の影』で感じたこと、疑問に思ったこと、いろんなことを監督や江口さん、ARATAさんとお話できるチャンスです!


そして、本日発売の「スタジオボイス」
たむらまさきさん(撮影)×越川道夫さん(プロデューサー)×市山尚三さん(東京フィルメックス プログラムディレクター)
の三人の鼎談が掲載されています。「8ミリの未来」。ぜひ読んでみて下さい!面白いですよ。

そして、甲斐田監督のインタビューが「毎日JP」にアップされています。
ぜひ、こちらも見てみてください。
キーワードは、3階から見るこの世界。
http://mainichi.jp/enta/cinema/interview/archive/news/2008/20080204org00m200009000c.html


 【その時、渋谷では…❹】


−「エクス・ポ」「nu」のデザイナー戸塚泰雄さんにインタビュー−



―「エクス・ポ」のデザインは、制御不能というか、偶然を感じますよね。


戸塚 16ページという制約があって、その中に力技で入れ込むことになるので、必ずしも思うような順番にはならないんですよね。そうすると、そこに置くしかなかったという、偶然が生まれる。どう見せるかは任せてくれるので、中原昌也さんのケータイ日記が、何頁にも及んでたりするんですが、ふつうの雑誌だったらダメだしされますよね(笑)。


―分かれて載っていると、まわりのほかの記事との関係性も出てきますよね。そのページの中だけで完結するのでなく、隣りあっているものと関係性が出てくる。1ページの中で完結されている状態と意味合いが違ってくると思うんです。どれが目に入って、どれを読むかというのが自由。その自由度が嫌で、全くシャットアウトして読む人もいるかもしれないし。なぜ、すすんで人は隷属したがるのか、ということをドゥルーズは言っていますが、「映画っていうのは、そうじゃないんです」というのがたむらまさきさんなんですね。「いいじゃないですか、人は観たいように観れば」という。そう言う点では、音楽がすすんでそれを体言している気はするんです。いつも聴いている音楽から、僕らはこういうことを学ぶんですよね。大友良英さんのI.S.O.のアルバム『重力時計』は、すごく豊かなものとして聞こえていたんですよ。こういうことなんだ、って思った。いまだに大友良英さんは買いますね。こんなにつづけて買う人は他にはいないですね。


戸塚 そういえば、観るたびに違って見える映画として、先ほど『孤高』を挙げられましたが、アウトワンディスクから出た架空のサントラはI.S.O.の大友さんやSachiko Mさんが演奏してましたね。I.S.O.は、まさにそういう音楽で。Sachiko Mさんのサイン波は、リスナーの耳の角度がほんの少しズレるだけでも、聴こえ方が物理的に変化しますし、他の楽音にも影響をおよぼす。それも亀裂ですよね。亀裂の作用や必要性を大友さんは常に意識していると思います。90年代に大友さんが率いたグラウンドゼロは、音数を極限まで増やしていって、亀裂を力づくで作っていたように見えましたが、I.S.O.は、逆に音数を最小限まで切り詰めていって、それがこれまで以上に亀裂の多い、亀裂そのもののような音楽になったという──。最近の大友さんは、自身の原点であるジャズで、さらなる亀裂の可能性を探っているようです。そこでは亀裂そのものを提示するのではなくて、亀裂をとけ込ませるというか、まるで毒を盛るようでもあって、さらに前衛的とも言える。その感じは『砂の影』にも感じます。

『孤高』にも参加していた杉本拓さんや、宇波拓くんも、一貫して亀裂を模索しているというか、すでにもう、更新しすぎて亀裂なのかなんなのかわからない領域にあって…。亀裂のようには見せずに、でもやはり亀裂そのものであるというか。そういえば、宇波くんは、最近はホースやかえる目など、バンド活動も活発で、『一万年、後‥‥。』などの映画音楽もやっていて、やはり協同作業が増えていますね。


―戸塚さんの中で、音楽にしても、ほかのモノにしても、「未完成」の可能性という意味で魅力を感じるものは何ですか?


戸塚 僕の編集している「nu」は対談が多いんですね。仕上がりが想像できないもので、それでいて、見たこともないような亀裂が起こりうる人選を考えると、結果的にですが、どれも初めての顔合わせで。対談中、僕はほとんど発言しないんですよ。ずっと任せっきり。横道にそれていっても、ああ、それちゃったな、って見守っていることが多い。ちょっと困っていても、あえて助け舟を出さなかったりして。というのも、亀裂って、結構そういうところで起こるんですよ。それをこそ求めているので、話が一貫してなくても全然いいんです。何かを解説してほしいわけではないので。でも、亀裂が多ければ多いほど、それをまとめるのが大変ではあって(笑)。亀裂を塞がずに、でも裂けたままでもマズイ(笑)。べつべつにある裂け目と裂け目を縫い合わせて、ひと繋がりに見せてやり過ごす、みたいな?(笑) そういうまとめ方の基準は「自分が読者だったら何を読みたいか」で、それはすごく考えるし、工夫をします。だって、自費で作っているので、売れないと困るので…。自分にリスクを強いることで身が引き締まる。お金はものごとを面白くすると思います。(続く)