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2018-06-19

ユーモアと悲惨〜『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(ネタバレあり)

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 ショーン・ベイカー監督の新作『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』を見てきた。

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 主人公は6歳の少女ムーニー(ブルックリンプリンス)であるムーニーはフロリダボビー(ウィレム・デフォー)が経営しているモーテルマジックキャッスルシングルマザーヘイリー(ブリア・ヴィネイト)と暮らしている。貧しい中、友達と元気いっぱいに遊ぶムーニーだったが、貧困ゆえにヘイリー売春を始め、モーテルの他の住人との関係がこじれて、児童福祉局がやってくる。

 ベイカーの前作『タンジェリン』は、撮り方は新しくても話自体ちょっと古くさいというか、どうしようもない男との関係を断ち切れない女に関する古典的な話だった。それに比べて今作はもっと話が複眼的で新鮮だし、切ないところと笑えるところのバランスがとても良い。登場人物の貧窮ぶりはかなり悲惨なのだが、全体的にユーモアがあって、暗くなりすぎずに貧困リアリティはきっちり伝える撮り方になっている。ムーニーやヘイリーキャラクターにとても深みがあり、ムーニーは大変な悪ガキで近所にいたら困ることもあるだろうなと思うが、それでもすごく可愛らしいところがある。ヘイリーもやっぱり困った人ではあるのだが、ひとりで子供を育てていて同情できるところもたくさんあり、喧嘩になる前にアシュリーがヘイリー親友だったのはその魅力的な性格のせいなんだろうなと納得できる。周りの迷惑を考えない不作法なところがある一方、魅力もあるという点で、ヘイリームーニーは似た者親子だ。ヘイリームーニー、ヘイリーとアシュリー、ムーニーと悪ガキ仲間たちの会話はとてもよく書けていて、ベクデルテストパスする。ムーニーを演じる子役ブルックリンプリンスの演技はとてもナチュラルだし、モーテルの主人ボビーを演じるウィレム・デフォーの演技も大変良かった。

 最後ディズニーワールドでのゲリラ撮影はすごい終わり方だと思った。子供たちのファンタジーをこういうふうに撮るのか…という純粋映像的驚きがまずすごかったのだが、一方で明らかにゲリラ撮影なのにけっこう大きく通行人の顔とかが映っていて、大丈夫なのか…という気もした。

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2018-06-18

よくできているが、あまり好みではなかった〜『ビューティフル・デイ』(ネタバレあり)

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 リン・ラムジー監督ビューティフル・デイ』を見てきた。

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 かつては捜査官だったが、現在PTSDに苦しみながら人捜しの探偵殺し屋のような仕事をしているジョー(ホアキン・フェニックス)は、ヴォット議員の娘で、家出した後未成年売春をさせられているらしいニーナ(エカテリーナ・サムソーノフ)の救出を依頼される。いつも通りのやり方でニーナ売春宿から救出したはずのジョーだったが、思わぬ落とし穴が…

 全体的に非常に台詞が少なく(ベクデルテストは全くパスしない)、説明的な場面もない。ジョーが抱えているらしい精神問題フラッシュバックで非常に曖昧に示されるだけだ。全体的にかなり血まみれの映画ではあるものの、最後の非常に重要な死についても直接描写が省略されている。

 フェニックスやサムソーノフの演技はとても良かったのだが、なんとなく全体にほのめかすだけで話が進むスタイルちょっとキザに感じて、あまり好きになれなかった。あと、やたら個性的音楽の使い方についてもどうも趣味じゃないな…と思っていたのだが、後で直前に見た『ファントム・スレッド』同様ジョニー・グリーンウッド音楽担当していたことに気付いた。私はレディオヘッドが嫌いなので、ひょっとすると全体的にレディオヘッド味を感じてあまり好きじゃないと思ったのかもしれない。

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2018-06-17

私はむしろバーバラでありたい〜『ファントム・スレッド』(ネタバレあり)

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 ポール・トーマス・アンダーソン監督ファントム・スレッド』を見てきた。ダニエル・デイ=ルイス引退作ということで話題になっている作品である

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 舞台1950年代ミニスカート世間を席巻する前のロンドンであるオートクチュール天才デザイナーであるレイノルズ(ダニエル・デイ=ルイス)と、そのミューズとなったアルマ(ヴィッキークリープス)の葛藤を描いた作品だ。天才らしく非常に奇矯でモラハラ男のレイノルズと、それに対してびっくりするような手段で反撃するアルマの間に芽生える感情を丁寧に描いている。

 全体的に大変よくできた映画だとは思うのだが、あまり好きになれなかった…アンダーソンの前作『インヒアレント・ヴァイス』に比べると、クスクス笑えるようなユーモアある場面が非常に少なくて息が詰まるような感じがするのと、あとアルマ存在が完全にレイノルズ付属しているのがそんなに好みではなかった原因かなと思う。アルマデンマーク王女の会話でベクデルテストパスするのだが、この映画は全体がモラハラ天才レイノルズカリスマ依存していて、出てくる女性たちは皆彼の力の影響下にある。ひょっとすると、レイノルズドレスをめちゃくちゃにしてしまバーバラがこの映画では一番自由女性なのかもしれないが、彼女馬鹿馬鹿しくダメ女性として描かれている。とはいえ、私はバーバラみたいに、レイノルズのような男の影響から逃れられる空気を読まない女でありたいなと思った。

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2018-06-16

真面目な歴史映画〜『マルクス・エンゲルス』

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 岩波ホールで『マルクス・エンゲルス』を見てきた。『私はあなたのニグロではない』を監督したラウル・ペックの最新作である

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 NTライヴヤング・マルクス』の予習だと思って見に行ったのだが、全体的にはかなり真面目な歴史映画だった。カール・マルクス(アウグスト・ディール)とフリードリヒ・エンゲルス(シュテファン・コナルスケ)の友情と、それに伴って2人がいかに革命理論を洗練させていったかが描かれている。全体的に非常に知的な内容で、『私はあなたのニグロではない』同様、考えて発言するというプロセスを丁寧に追った作品だ。ドイツ語英語フランス語が飛び交う国際的な内容で、19世紀というのが非常にコスモポリタン時代であり、貧困労働者権利がこの頃の西ヨーロッパ全域で強い関心をかき立てている国際的問題だったということもわかる描き方になっている。

 カール・マルクスものすごく才能があり、かなり付き合いにくい人として描かれていて、知性のほうはともかく性格のほうはあまり理想化されていないと思った。エンゲルスのほうについては、クラブ執事にすごむところとかは「あ、コイツやっぱりブルジョワの息子だわ」みたいなイヤな感じがすごく出ていて理想化されていないところもある一方、アイルランド系メアリーと恋に落ちて一緒に暮らすようになるあたりの描き方は少々単純化されているように思った。ちなみにこの映画における恋愛とか男女の性の描き方は、知的議論撮り方に比べてあまりうまくない。みんなが政治についての議論をしているところや、組織乗っ取りを画策する場面なんかはけっこうワクワクして見られるのに、一方でカール・マルクスと妻イェニーのセックスシーンは「この場面、いるんですかねぇ…」みたいな陳腐な感じだったし、イェニーとメアリーが互いのパートナーについて話す会話は「イェニーの反応はそれでいいのか?!」みたいな感じだし(ベクデルテストパスしない)、ちょっとイマイチだったと思う。

 

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2018-06-15

MIDWEEK BURLESQUE vol.59 -Strong in the rain!-

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 「MIDWEEK BURLESQUE vol.59 -Strong in the rain!-」を見てきた。出演者Bee TinyTot、AIMEE、PRISM、Violet Eva、Sergeiだった。出演者はいつもより少し少ないもののどれも充実したショーで、とくにBee TinyTotのショーがとにかくド迫力で楽しめた。紫ベビードールが全員来ていたのだが、全員でのショーはないという意外(?)な展開もあった。

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