一九一四年八月四日、イギリス、ドイツに宣戦布告。 それからおよそ二ヶ年を経た一九一六年十月時点で、小麦の値段は十三割増し、小麦粉の方も実に十割増しという、紳士たちが未だかつて経験したことのない、大暴騰が発生していた。 産業革命以来、海外の低廉な農作物に頼るばかりで自国農業をひたすら等閑に附し続けてきた伝統のツケを、こんな形で支払わされたわけである。 一九一七年二月二十三日、時の首相ロイド・ジョージが下院に於いて演説した内容は、そのあたりの消息を最も簡潔明瞭に取りまとめたものだった。 「穀物条例廃止以来二十年間に四百万エーカーの土地と五百万エーカーの開墾地とが草地に変った。農業人口の半分は、海外…