ミュンスター再洗礼派研究日誌

宗教改革の少数派である再洗礼派について紹介していきます。特に16世紀のミュンスターや低地地方の再洗礼派、17~18世紀のノイヴィートの宗教的寛容を研究中。

主要イスラム教学者138人、キリスト者に宛て声明発表続報

昨日紹介したイスラム教学者の声明の件ですが、id:itunalilyさんが、この件についてコメントを行い、「Herald」による記事と手紙の概要を紹介しています。

ただし、私見を言い添えると、この内容は、失礼ながら、特に新奇性のあるものでもありません。実は、第二次世界大戦前後、ウィリアム・シェラベアの晩年近く(1940年代頃)から、シェラベアも含めた一部の進歩的な宣教師学者の間で提唱が始まり、具体的には、1980年代頃から、キリスト教神学における宣教議論の重点変化に伴って、まずクリスチャン側からムスリムへの呼びかけとして提出されていたものです。イスラームキリスト教、ないしはクルアーンと聖書の相違に強調点を置くのではなく、類似点に共通項を求めて一致協力していこうという考え方です。

ユーリの部屋

Muslim open letter to Pope

今回と同様の呼びかけは、以前キリスト教側からも行われたことがあったようです。今回のイスラムの声明が両宗教の対話を促進するかどうかはまだ分かりませんが、今後も同様の試みが繰り返され、行きつ戻りつしながら、少しずつ対話が進んでいくのだろうと思います。