サッカー界の不都合な真実
2013-14シーズンのプレミアリーグはマンチェスター・シティの優勝で幕を閉じたが、ライバルとなる強豪チームのファンからは、「シティはホームゲームで審判に優遇されている」という批判が幾度となく噴出していた。確かにリヴァプール戦のオフサイド―― ラヒーム・スターリングは明確にオンサイドだったが、ゴールを取り消されてしまった―― や、逆にサウサンプトン戦でのオフサイド見逃し ――ダビド・シルバは少なく見積もっても相手DFより2mは前に出ていたが、線審は旗を上げなかった―― によって、シティが有利に試合を進めたということは可能だろう。長年シティの試合を取材してきた私のTwitterアカウントにも、ライバルチームのファン、とくにアーセナル・サポーターからの批判と、八百長を疑う声が届いていた。シティがプレミアリーグで最大の資金力を持っていることを考えれば、そう言いたくなるのも納得だ。
遥かスペインでは、バルセロナが同種の批判を受け続けている。カタランの巨人たちが受けているとされる秘密の厚遇はスペイン国内に留まらず、チャンピオンズ・リーグにも及んでいるのが専らの評判だ。ふつう選手たちはこの種の問題について多くを語らないものだが、元チェルシーのストライカー、ディディエ・ドログバはインタビューの中で「審判はいつものようにバルサに優しかった」と発言している。
数年前にルチアーノ・モッジと彼のお仲間たちが悪びれもせず暴露して見せたように、サッカー界にとって八百長は決して過去の遺物ではない。むしろ、その逆だ。あらゆるスタジアムのロッカールーム、VIPシート、カメラマン席、用具係のロッカーには八百長が溢れかえっている。私は長年の危険な取材を経て、ついに八百長をめぐるサッカー界の真実にたどり着いた。
実のところ、マンチェスター・シティは八百長をしている。バルセロナもそうだ。それから、レアル・マドリーも。驚かれただろうか。こうしたクラブ間での試合は、全て事前に取り決めが行われ、数十年単位で全てのチームが順繰りに、かつ立場に見合っただけの報酬を得ることができるよう、巧妙にデザインされているのだ。
それだけではない。チェルシー、リヴァプール、トッテナム、マンチェスター・ユナイテッド、それにエヴァートンとサウサンプトンもこの悪事に手を染めている。それからシェフィールド・ユナイテッドと、レスター・シティも。ブラックバーン、ボルトン、イプスウィッチ、リーズ、フラムとチャールトンも忘れてはならない。ミルウォール、ミドルズブラ、サンダーランド、ニューカッスル、セルティック、ハミルトン、コルチェスター、ロザラムにオールダム、それにアマチュアのタムワースもだ。ポーツマスとダーリントンの破たんは、それ自体が仕組まれた事件だった。(提案したのは両クラブ自身だという)。おっと、ケンジントンとオックスフォード、ウォルソールも忘れてはならない。それからフリートウッド・タウンにアクリントン・スタンレーも。
ことはイギリス国内に留まらない。ユヴェントス、ASローマ、ラツィオ、インテル・ミラノ、キエーヴォとエラスの両ヴェローナ、ヴェネツィアにウディネーゼ、PSVにシャフタール・ドネツク。それにセビージャ、バレンシアにラス・パルマスもだ。パレルモについては、ザンパリージ会長自身がシナリオを立てることから“マエストロ”と呼ばれている。
遠くアジアでも、ジェフ・チバ、ペルセポリス、スウォン・サムスン、ガイナーレ・トットリと枚挙にいとまがない。
そう。告白しよう。実は、サッカー界における全て―審判の笛、DFラインからの組み立て、観客の声援、記者の採点―は仕組まれた八百長なのだ。唯一このことを知らず、また永遠に気付かないであろうと思われるのは、アーセナルとアーセン・ヴェンゲルただ一人なのである。全てが密約と札束で決まるこの世界において、アーセン・ヴェンゲルはただ一人、いつ果てるとも知れぬ孤独な戦いを続けているのだ。