いよいよ明日、美術館は再オープンします


いよいよ明日2月4日(土)、当館は冬期休館を終え、再オープンいたします。そして企画展「絵本はここから始まった〜ウォルター・クレインの本の仕事」(3月26日(日)まで)が始まります。




ウォルター・クレイン(Walter Crane 1845-1915)は、19世紀後半にイギリスで活躍し、現代の絵本の基礎を築いた重要な画家として知られています。
1845年、画家の息子としてリバプールに生まれたクレインは、13歳の時、木口木版の工房に入り、そこでデッサンの基礎を学びます。その後クレインは、多色刷木口木版の技術を開発した彫版師・摺師のエドマンド・エヴァンズにその才能を見いだされ、二人は1865年に全頁カラー刷りのトイ・ブック(8-12頁ほどの簡易なつくりの絵本)を生み出します。それまで絵本のカラー印刷は表紙に限られ、なかの挿絵ページは手彩色でしたので、これは画期的な出来事でした。以来、クレインはエヴァンズとともに、絵本のヒット作品を次々と世に送り、一躍有名になります。
1877年以降、クレインはトイ・ブックの仕事から手を引きますが、生涯、子ども向け・大人向けの挿絵の分野で数々の傑作を生み出します。その一方で、壁紙、テキスタイル、室内装飾などのデザイナーとして、またアーツ・アンド・クラフツ運動の推進者、社会主義活動家、装飾芸術の理論家、教育者、画家として多方面で活躍しました。
本展は、本の仕事を中心に、クレインの芸術を本格的に紹介する日本で初めての展覧会で、クレインのほぼすべての絵本と主要な挿絵本を網羅する約140点の作品を展観します。またクレインとともに絵本の黄金時代を築いた画家グリーナウェイコールデコットの作品約40点もあわせて展示し、ヴィクトリア朝のイギリスで華麗な花を咲かせた挿絵本の世界をご堪能いただきます。


■企画展『絵本はここから始まった—ウォルター・クレインの本の仕事』
◇会 期:平成29年2月4日(土)〜3月26日(日) ※会期中一部展示替えがあります。
◇休館日 :月曜日(ただし3月20日(月・祝)は開館、翌3月21日(火)は休館)
◇観覧料:一般 1000円(800円)/ 高大生 650円(500円)/ 小中生 450円(350円)
    ( )内は前売および20名以上の団体料金
◇主 催:滋賀県立近代美術館京都新聞BBCびわ湖放送
◇後 援:滋賀県教育委員会
◇企画協力 :マンゴスティン

▲ウォルター・クレイン(絵)『美女と野獣』1874年

▲ウォルター・クレイン(絵)『眠り姫』1876年

▲ウォルター・クレイン(絵)『幼子のオペラ』より「桑の木をまわろう」1877年 中央大学図書館

▲ウォルター・クレイン(絵・詩)『フローラの響宴』1889年


なお、同時に新しい常設展「日本画・郷土美術部門:新収蔵品を中心に」(3月5日(日)まで)、「現代美術部門:物質と素材」(3月26日(日)まで)もオープンいたします。こちらも併せてご覧ください。