杉浦非水の大正期、関東大震災前の装丁

非水の装丁は、関東大震災以降に大幅に変化を見せる。が、立証は出来ないが、洋行する前から美術雑誌などからアール・デコに関する情報をつかんでいたのではないかとも、推察できる。特に気になるのは大正11年に刊行された池田林儀『改造の独逸より』(東京堂書店)だ。それ名での装丁とはまるで雰囲気が違うのがわかる。フリーハンドで描いた絵ではなく、明らかにコンパスや定規を用いて描いた幾何学的な形の図案で表現することを意識しているように思える。



杉浦非水:装丁、『お夏文代』(大正6年



杉浦非水:装丁、『義時の最期』(大正7年



杉浦非水:装丁、『趣味の日本史』(大正7年



杉浦非水:装丁、『白珊瑚』(大正8年



杉浦非水:装丁、『結婚の心理』(大正9年



杉浦非水:装丁、『金鈴』(大正9年



杉浦非水:装丁、『しみのすみか物語』(大正10年)



杉浦非水:装丁、『常磐木』(大正11年


杉浦非水:装丁、池田林儀『改造の独逸より』(東京堂書店、大正11年)



杉浦非水:装丁、『資本主義のために』(大正11年



大正12(1923)年1月7日から同年12月2日までヨーロッパに遊学したが、1923年9月1日の関東大震災発生により、旅程は途中で切り上げられ、帰国を余儀なくされた。これ以降の装丁が、外遊の影響を受けたと思われる作品になる。



杉浦非水:装丁、鈴木全太郎『白鳥』(金星堂、大正13年



杉浦非水:装丁、『日本文学新史』(大正13年




杉浦非水:装丁、『美味しい洋食の拵え方』(大正13年



杉浦非水:装丁、『青い蝋燭』(大正13年



杉浦非水:装丁、『みどりの眉』(大正13年



杉浦非水:装丁、『三面座談』(大正13年



杉浦非水:装丁、『花の咲くまで』(大正13年



杉浦非水:装丁、『明治大正の国文学』(大正13年



杉浦非水:装丁、『銀行講座』(大正13年