「パーソナル・カミオカンデ」をデザインする

Webの発達による情報の洪水の中で我々は生活しているわけですが、「せっかくWebの技術が発展し、その恩恵を受けられるんだから、何か自分らしい情報収集・管理術がないものか」とずっと考えておりました。

そんな中で出会い、「なるほど」と思った言葉が、梅田望夫さんの「ウェブ時代をゆく」で語られる、「パーソナル・カミオカンデ流しそうめん型情報処理」であります。

カミオカンデ」とは何かといいますと、ノーベル賞を受賞した小柴昌俊東京大学名誉教授がニュートリノ(宇宙から飛来する素粒子)を観測するために作った巨大な観測装置です。50,000トンの超純水を蓄えたタンクと、その中に11,200本の光電子増倍管を備え、宇宙から降ってくるニュートリノを捕らえようとします。

今我々に降ってくる「情報」は宇宙から降ってくるニュートリノみたいなものであり、これを捕まえるためにはみんなが自分オリジナルの「パーソナル・カミオカンデ」をもたないといけない、というのが梅田望夫さんの主張です。

初めての方は意味がわからないと思うのですが、「ウェブ時代をゆく」ではこんな感じで書かれております。私が「ウェブ時代をゆく」の中でも非常に感銘を受けた言葉の一つです。

私たち一人一人を取り巻く無限ともいうべき情報から、自らの志向性と波長の合う信号をキャッチするためには、心の中に「パーソナル・カミオカンデ」を用意し、微弱な信号でも捕まえてやろうと待ち構えていなければならない。(P140、141)

今の若者たちの情報感覚は、そうめん(情報)は本当に無限なので、本当に流れるままに眺め、食べたいと思った時に取り、それ以外は流れていくまま捨てる感覚だ。(中略)新時代の情報リテラシーとは、「無現の情報」と「自らの有限の志向性」を直感的にマッピングする感覚で、つまり膨大な情報を遮断せずに大切な情報を探し続ける能力である。(P109)

ウェブ時代をゆく」ではこの2つの言葉は独立して語られているのですが、私は下記のイメージ図で勝手に自分なりに解釈しております(笑)絵がかっこ悪くてすいません。。

自分の志向性にあった「パーソナルカミオカンデ」で受けた情報を、その流れをせき止めることなく、自分の目の前を流しそうめんのようにどんどん流していく。そして流れ行く「情報=そうめん」を自分の志向性という名の「お箸」で掬い取り、どんどん消化する。そして「志向性」にあわないそうめんはどんどん受け流す。受け流しはするが、一回自分の目の前を流してから、受け流す。これを「量は質を生む」と信じ、継続していく。

これが、わたしが考えている「パーソナル・カミオカンデ」と「流しそうめん型情報処理」であります。

この考え方を知って、「パーソナル・カミオカンデをどのようにデザインするかが非常に重要だな」と思い、現在も試行錯誤中なんですが、ちょっと一つ現状をまとめてみようかと思い、今回のエントリーに至っております。

「パーソナル・カミオカンデ」のデザインコンセプト

私は、情報を活用する「目的」というのは、(1)全体を見渡す(俯瞰する)、(2)分野・部門に水をやる、(3)専門を深堀する、という3つの階層に分類されると思っており、その階層ごとに、情報の捕まえ方に変化をつけることが重要かと思っています。全ての情報を同じ「強さ」で捕まえることは不可能でしょう。

「(1)全体を見渡す(俯瞰する)」目的で収集する情報はフロー型としてどんどん流していく。「(2)分野・部門に水をやる」目的の場合は、基本フロー型を志向しながら、必要な情報はストックとして蓄え、「自分データベース」に登録していく。「(3)専門を深堀する」目的の場合は、あくまでストック型を志向し、「自分データベース」をよりよいものにしていく努力を継続する。

そして、情報を収集する「手段」として、(1)Web、(2)新聞、(3)雑誌・本、(4)その他と分類し、先ほどの「目的」とのマトリックス図で各目的を満たす情報収集インフラ=パーソナルカミオカンデをデザインしています。まだ発展途上ですけどね。

情報源としては「Web」の最大限の活用を目指しますが、旧来の紙媒体を中心とする「リアル」な情報源もうまく取り込み、情報収集力のあるカミオカンデのデザインを目指したいと思ってます。

例えばおいしいお店を探そうとする場合、Webを使って調べるより、雑誌を使って調べたお店のほうがおいしかったという経験が多々あります。そんな体験からも、以前として「リアル」な情報源の良さも見逃せないなと強く思うんですね。

そんな経験から、私が今考えている「パーソナル・カミオカンデ(半完成版)」は下記のようになります。

この縦軸に3つの情報活用の目的をとり、横軸に情報収集手段を取るマトリックスを使うと、自分のパーソナル・カミオカンデの漏れ抜けが確認できて、よりよいデザインが可能になるのではと思ってます。

次回は、実際の私の「パーソナル・カミオカンデ」をご紹介しながら、もう少し具体的に情報収集について考えてみたいと思います。


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