5月19日-7月9日

いのちのパレード
異色作家短篇集のオマージュとのこと。初期の恩田さん(「月の裏側」とか)を思い出す、懐かしさのある短篇集だった。彼女の幻想色の強い作品が好みで、この本で云ったら「蝶遣いと春、そして夏」とか「SUGOROKU」とか。前者を読んでやっぱり「イサオ・オサリヴァンを探して」の続きを読みたいなぁ、と。待ってます。
いらつく二人
ラジオ対談集第二弾。奥様のお話がでるだけでにこにこしてしまう。「一家に役者は一人で十分だ」とか。三谷さんってほんと収録の後とか消耗してそうだもの、ドラマ・バラエティ問わず。
カルトローレ
モノトーンとペールカラーのあたたかな砂漠のお話。ほどよい謎が緊迫感を持って話をひっぱっていく。少しずつ少しずつ謎は明かされるが、だがそのものとして手渡されはしない。漫然と読み下した箇所にその答えがあったような気がして、またそろそろと本を開く。そして舞台設定とか雰囲気が初期っぽいんだなぁ!嬉しい。大満足。あと作品のキーアイテム・クロシェにも興味があったので、文章で描かれる美しさを思い描くのが楽しかった。表紙も素敵だし、ここ最近の長野作品では一番好きだな。
やっぱり欲しい 文房具 ~ステイショナリー評論家がえらんだ普段使いの傑作たち~
本書で紹介されている文房具は機能を重視した故のストイックなものばかり。これがまた眺めているだけでかっこいいんだなぁ。所有の欲望をふつふつと湧かせる、美しい文房具の世界。
戸村飯店青春100連発
爽やか兄弟ストーリー。まぁ、さらっと。
冷蔵庫のうえの人生
母と娘のメモのやりとりだけで構成された小説。行間を読む感覚は面白かった。が、母にも娘にも感情移入できなかったのは痛い。感情移入してなんぼの作品だから。
有栖の乱読 (ダ・ヴィンチブックス)
100冊レビューのとこは未読。語り口のあまりの青さに驚いた。特に自作解説の箇所、気負いすぎじゃね?まぁ以前エッセイ集を読んだときには感じなかったことなので、年をとって丸くなられた(もしくは包み隠すことを憶えた)のでしょう。100冊レビューもじっくり読みたいので文庫買おうかな。
FUTON
いや、すごいよこれは。田山花袋の「蒲団」は残念ながら未読。未読でこれだけ面白いなら既読ならばいかほどか。話の筋だけ追ってるとつめこめるだけつめこんでる感があるけど、それが全然気にならない。話の見せ方がすごく上手い。悔しいけれどこの魅力を上手く伝えられない、読んでみて、としかいえない。
ディアスポラ (1) (ウィングス文庫) - [isbn
440354083x:title]:精霊・魔法使い・宇宙からの使者。よくぞこれだけというお膳立て。世界観は練れていて堅実な感じ。ただ、キャラクタの性格づけがイマイチかなぁ、と。というか中途半端。なんかすごーく重苦しい話なんだけどキャラクタたちがわいわいがやがやしてるうちに解決、みたいな。そういう意味ではすごいかも。ていうかパーティみんながトラブルメーカーって実はなかなかない設定だな。文章は少々くどくて説明的な印象。文章のくどさは彼女のBL作品ではあまり気にならなかったのだけどな・・・。全体的にちょっとずつ惜しい作品だったと思います。最後まで読みたいと思わせる話運びであったので特に。
マルタ・サギーは探偵ですか? (富士見ミステリー文庫) - [isbn
9784829163948:title]:私今まで野梨原さんの真骨頂はちょーシリーズだと思ってました。焼き直しのような作品がでてしまうのもまぁしょうがないのかな、とも。が、しかし、このマルタシリーズは今までとは全く違う世界観(がしかしもちろんばっちりがっちり野梨原ワールド)で、新たな魅力に満ちている。正直めろめろです。マルタなんかあんなにダメな男なのに、それなのにすごくかっこいいなんて反則だと思うし、バーチはもう惚れるなって方が無理。で、ばっちりビルドゥクスロマンに仕上がっていて、探偵と怪盗の恋なんていう美味しいえさも用意してあって。八月に最終巻がでるらしいので、それまでにまだ読んでいない三冊をゲットレしたいと思ってます。
少年たちの四季 (集英社文庫)
帯に思春期という名の難事件とあるとおり、思春期の少年少女を主役とした短編四編を収録。ヘヴィです。推理小説というより青春小説ですね。探偵役の萩原さんが完全に善意の第三者でない点がリアルでありまた救いであったと思います。
男は敵、女はもっと敵
一人の女を巡る連作短編。最後にみんな集めてうまくまとめるのって山本さんの癖なのかしら。うまくまとまってるから違和感はないけど、結構こういう終わりが多いので気になる。登場人物のほとんどに感情移入ないし共感できたのだけど、卓だけはだめだった。得体がしれなくて気持ち悪い。皆が藍子をみて物語っているのに当の藍子の影にいつも卓が見えるからだろうか。
私の男
こんなドロドロした女を描くんだな、吃驚した。孤独と孤独を持ち寄って寄り添って抱き合って、でもほんとうの親子だから、だからこそ、孤独はまた増えていく。淋しい話だな、と思った。