観てきました！待望の深津さんの舞台。
とにかく良かったの一言。深津さんは、頭からずっと出突っ張りで、前半はメチャクチャセリフも多い(私が見た中ではダントツでセリフが多い)。声色を変え、表情、仕草に繊細な演技ともう言うことなしです。後半もずっと舞台上にいて、七之助さん演じる小春とのやり取り、心の変化、これまで何度も劇中で心中して死んでいく小春を最後は死なせまいとするクライマックスのシーンなど、もうすべてすばらしく良かったです。
そして前半の途中から現れた小春役の七之助さんの美しさに目を奪われてしまいました。声といい、所作といい、どれをとっても女性、いやそれ以上です。さすがです！なんか歌舞伎を見に行きたくなってしまいました。
物語は、近松門左衛門の曽根崎心中、心中天網島をベースに現代と絡ませて新しい物語として作られていて、最後まで引き込まれてしまいました。
死を考えていたハル(深津さん)が橋の上で小春(七之助さん)と出逢い、江戸時代と?現代とが交錯し、それを中嶋しゅうさん演じる近松?(たぶん作家の役どころだと思います)が狂言回しとして、現代と江戸時代(劇中)を橋渡ししながら、深津さんとのやり取りでテンポよく進んでいきます。
現代のハル(深津さん)の境遇と重なりながら、小春のそばで、ハルの心が変わっていく様を深津さんが最後まで丁寧に演じきってくれました。
終盤の小春の心中を止めるシーン。ハル(深津さん)の強い思いは、丁寧なセリフ回しから一転、鬼気迫るほどパワフルで、その演技に引き込まれ、息を飲んでただ見守っていました。
最後の雨のシーン、七之助さんの早変わり(小春からハルの亡くなった旦那さん役へ)は衝撃的でした。なんか小春の時は深津さんと同じ身長だったのに頭１つ以上高くなっていて凄いなぁなんて、感動的なシーンの最中に思ってしまいました。
今回の舞台観劇、実はこれが最初で最後の1回だけ。失敗しましたぁ！もう1回見たかったなぁ。でも明日が千秋楽なんですよねぇ。本当に残念です。
そして、この舞台、生演奏なんですよ〜。舞台の奥に演奏スペースがあって、最後の最後に生演奏と気づきました(ごめんなさい)。感動・感激です。
2時間50分の長丁場があっという間の幸せな時間となりました。
《舞台情報》
『『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門「心中天網島」より- 』
作：谷賢一
演出：デヴィッド・ルヴォー
出演：
深津絵里・中村七之助
伊藤歩・中島歩・入野自由・矢崎広 澤村國久・山岡弘征・朝山知彦・宮菜穂子 森川由樹・中嶋しゅう・音尾琢真
ストーリー
ほんのちょっと、１５分だけの恋のはずだった。
止むに止まれぬ事情から、売春婦になったハル。割り切って始めた商売だが、 足繁く通うジロウ（妻子持ち・現在失業中）と命懸けの恋に落ちる。周囲の反対を押し切ってこの恋を全うすることが出来ないと諦め、ハルはジロウに愛想尽かしをしたふりをして心ならずもジロウと別れる。自暴自棄になって街をさまよっていたハルは、かつて遊女の涙で溢れたという蜆川（曽根崎川）のあった場所で、ハルと同じ境遇にある、妻も子供もいる紙屋治兵衛と命懸けの恋をしている遊女小春と出会い、近松門左衛門の江戸の世界、古い古い恋の物語に引きこまれていく。
上演期間・劇場
2016/2/29(月)〜2016/3/6(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
2016/3/10(木)〜2016/3/27(日) Bunkamura シアターコクーン
観劇日時：2016年3月26日(土) 13：30〜15：20(ぐらい) うち休憩20分
カーテンコールは、間違えていなければ、3回だったと思います。最後のカーテンコールの時は、深津さん走って戻る時に、そでの手前で立ち止まって一礼していました。
最後に、やっぱり役者さんて凄い。ここまで作り上げてきた努力は並大抵のものではないと思います。プロフェッショナルな仕事を間近で見て感じて、私も負けちゃいられないなぁと思いました。
