スター選手も使い捨て

 バドミントンの桃田賢斗選手と田児賢一選手が違法カジノをしていた事で問題になっている。私はバドミントンはスポーツニュースで見るくらいの情報しかないので、一時期期待の星と注目されていた田児選手って最近話題に上らないなーと思っていたら、元野球選手の野村貴仁まではいかずとも、結構やさぐれた外見になっていたので驚いた。今回の事があって初めて知ったけれど、怪我で思うような好成績が残せなくなっていたとか。


 うむ・・・、そうなると、やはり協会は、活躍している選手にばかりお金をかけ、その活躍により自分達の運営費を回収するだけでなく、『かつて活躍してくれた選手達』のケア(引退後)にも力を注いで行かないと、また同じような選手が現れる。(ただ、違法賭博行為をした事まで協会の責任であるかのような発言には大反対。)


 違法賭博をしていた事に関しては、清原和博の件が記憶に新しいのに、「カジノくらいいいじゃない」と言っている人が多い事に驚いた。やっていた事はたかが賭けゲームかもしれないが、それをどこでやっていたかに問題がある。


 違法ギャンブル店は文字通り“違法な事をしてでもお金儲けがしたい”という団体=暴力団が運営してるんだから、そういう人間というのは、金になりそうな事なら、それこそ法律だの人間の情だのにはとらわれず行動する。今回はこの程度で済んだけれど、暴力団にとっては、オリンピックのメダル候補の人間が自分達の庭で違法な事をしているとなれば、利用しない手はない。つきあいが深くなるにつれ、それこそ清原のように違法薬物をすすめてきたり、その薬物を使っている所を映像に撮られて脅してきたり、そういう可能性がウヨウヨと転がっている世界に足を踏み入れてしまった事は大きな問題だ。


 それと、桃田賢斗選手をかばう声の中に「メダルを獲れるくらいの選手なのに活動禁止はもったいない」というのがあるけど、じゃあメダルに手が届かない選手なら罰を重くするのかと言いたい。勝間和代あたりも鼻息を荒くして「桃田選手がオリンピックに出場した場合、メダルが獲れる確率は相当高いです。仮にそれが金メダルだった場合、日本にもたらず経済効果は絶大ですので、ここはぜひ出場させた方がいいと思います!」とまくしたてそう。それで結局メダルが獲れなければ「やっぱり賭博なんかにうつつを抜かす奴だからだ!」と叩くんでしょう?


 原発の再稼働にしても、東京オリンピックにしても、被災地そっちのけで、「目先の金稼ぎが一番大事!」という風潮が政財界に蔓延している。そんな中、馳文科大臣の「何のためにスポーツをしているのか、自分自身に問い直してほしい。メダルより大切なものがある」というシンプルな言葉に救われた。権力側でこういう当たり前の事を言ってくれる人を久しぶりに見た。