第5回口頭弁論報告

さる2月21日(月)、麻生邸ツアー事件国賠訴訟の第5回口頭弁論が行われました。フリーター労組への2008年の家宅捜索がいかに不当であるか、原告労組側の弁護士が厳しく追及しています。

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当日は多くの傍聴者が結集し、東京地裁721号法廷の40席がほぼ埋め尽くされました。今回の法廷では、原告側弁護団の大口昭彦弁護士が被告東京都に対して再求釈明(被告都の曖昧な主張について「はっきり説明せよ」と裁判所に対して行う申し立て)を行いました。被告東京都による逮捕ならびに家宅捜査差押の理由が、いかに恣意的かつ法に照らして間違っているかを徹底的に追及していく質問を浴びせかけました。満席の傍聴席は大口弁護士の熱弁に緊張感をもって聞き入りました。

大口弁護士の再求釈明は、次のような内容でした。被告都は逮捕理由の一つに、リアリティツアーによって渋谷の街の円滑な交通が妨げられたことを挙げています。しかし、休日の渋谷において雑踏の混雑は日常的なものであり、この件のみを警察が刑事警察的に規制することは極めて恣意的だといえます。被告都は道路交通の秩序に関することのみを云々しているが、実際の「リアリティツアー」の現場において警察が目くじらを立てていたことは「プラカードを下ろせ!」「風船はいかん!」などと、道路交通とは全く関係のない事柄ばかりでした。原告らに対して執拗につきまとい、警察の「やろう!」等のかけ声と共に原告園に対する逮捕行為が開始され、渋谷の街は大混乱となり、警察こそが「交通秩序」を大いに阻害したのです。

また大口弁護士は、不当逮捕に伴うフリーター全般労組に対する家宅捜索の違法性も厳しく追及しました。16点もの押収品目のうち、「パンフ<生きのびるための労働法>」や救援連絡センターに関する情報を記載した「レジュメ<自由と生存のメーデー>」の押収は、とりわけ憲法で保障された労働組合の基本的な活動を萎縮させ、また逮捕時の被疑者の法的権利を知るという当たり前のことを犯罪視する警察の姿勢を露骨に示しています。警察法2条2項では「警察の活動は・・・不偏不党かつ公平中正を旨とし」と規定しているのですが、そこから大きく逸脱する公安警察的捜査のやり方は法的に糾されなくてはなりません。

今回の法廷では、公安条例は憲法違反であることを主張する原告側書面も提出しました。1960年最高裁判決の公安条例合憲判断を見直すことを求めています。

次回の法廷では、被告東京都の主張を聞くことになります。訴訟団の再求釈明に被告はどのように回答するのでしょうか。これまで被告東京都が取り繕ってきた逮捕のもっともらしい言い分が、徐々に崩されていくことになるでしょう。弁護団は徹底的に追及する構えでいます。弁護団は、逮捕現場を撮影した映像証拠取り調べも要求しています。今回、裁判長は原告訴訟団と被告東京都・国の主張を整理する時間がもう少し必要だという判断を示したので、映像証拠調べは数回後に行われることになる見込みです。

次回の口頭弁論は、4月25日(月)14時から東京地裁721法廷で行われます。引き続き多くのみなさまの傍聴支援を熱烈に要請いたします。

麻生邸リアリティツアー事件国賠訴訟は、2010年2月26日の提訴日から一年目を迎えることができました。全国の支援者のみなさまのおかげて、訴訟団は法廷闘争を続けてくることができました。訴訟団は今後も続く闘いを支えて下さる賛助会員を募っています。ぜひブログをご覧になり入会の申し込みをお願いいたします。
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