EURO2004:チェコ 0 - 1 ギリシャ

一方がポルトガルに決まったんで、ポルトガルにとってはギリシャに勝ってもらって決勝でリベンジを果たすっていうのがこの上ない展開なんだろうけど、やっぱり観たいのはチェコですなあ。

前半終了で0-0。実況と解説が言うほどチェコギリシャに飲まれてるっていう印象はないけどなあ。ほとんどチェコペースだと思うんだけど、ギリシャの攻撃時にセカンドボールを拾うのが大抵ギリシャなんでそういう印象なのかな。あれは、チェコは基本的にヤンクロフスキーを除く3人がほとんど攻撃に参加せず低い位置を保つんで、ギリシャ得意のカウンターの形を作らせにくくはしているんだけど、やっぱり中盤との連動性には欠けて、ガラセクの位置次第では最終ライン前にスペースが空くんでセカンドボールを拾えてるだけで、何も今に始まった話じゃないと思う。チェコの守備はその中盤のスペースと右サイド深くが明らかにウィークポイントなんで、むしろその辺りギリシャはもっとうまく使えないとダメなんじゃないか。フィサスとカラゴウニスの左サイドはそれほど怖くないしなあ。前半40分にネドベドが怪我で交代しちゃってからチェコがややバタバタしてたんで、ハーフタイムの指示を受けるまでのこの時間帯がギリシャにとっては勝負だなと思ったんだけど、結果としては決定的なチャンスは作れないまま前半終了。もったいないことしたな。

対するチェコの攻撃はネドベドの交代までは何の問題もないと思った。ギリシャは確かに固いんだけど、組織で抑えているというよりはマンマークにおいてきわどいところでの体を張ったプレーで何とか防いでいる印象で、そこを抜けると簡単にチャンスになる。特にヤンクロフスキーのオーバーラップが効果的で、マンマークで守るギリシャにあそこをケアする選手がいないんだな。これは得点も時間の問題かなと思って観てたんだけど、先に言ったようにネドベドが怪我をして、代わってスミチェルが入った辺りから雲行きが怪しくなってきた。一応ネドベドは左サイドなんだけれどもどこにでも顔を出すんで、ネドベドが真ん中に流れたときにヤンクロフスキーが上がるとかいう連動性があったんだけど、スミチェルは割とサイドに張るんで上がるだけのスペースが消えちゃった。あれだったらミドルも撃てるハインツ入れて真ん中でやらせた方がいいと思ったな。まあハーフタイムで修正してくるとは思うんだけど。

後半終了でも0-0で延長戦突入。つまらない試合ではないけど純粋に睡魔にやられそうです…。あんまり集中できなかった。

先に触れたセカンドボールのことだけれども、ギリシャはセカンドボールを拾えてもそこから組み立てる手段を持たないんだな。どうしても細かいボールコントロールでは劣る部分があるんで、スピードに乗れないところからでもテクニックで打開するとか、あるいはスペースを見つけてそこに展開するっていうのができない。そういう意味ではそれなりのものを持っている(らしい)ギアンナコポウロスが入ったんで期待したかったんだけど、今度はセカンドボールが拾えなくなってきた。全体的に無駄なファウルが増えたってことでもあるし、ギリシャの中盤でのシンプルなプレーにすら簡単なミスが出てきたせいでもあるように思う。やっぱり疲れたかなあ。

チェコはスミチェルが真ん中にも入るようになってきたし、ギリシャの中央での守備がやや甘くなったこともあってペナルティエリアの外まではいけるんだけど、どうしても崩しきれないとか、崩してもシュートが枠に行かないとかで相当もったいないことをしてるなあという印象。バロシュセイタリディスのしつこいマンマークに苦しんでいて、あそこを打開すればかなりのチャンスになるんだけど。あるいはロシツキーがフリーで受けるとかなり期待できるんだけど、どうしても彼のプレーエリアは混みあうところなんでねえ。全体的には特別悪いところもないんで(バロシュが抑えられてるのはセイタリディスを褒めるべきであって、そこさえクリアすれば決定的な仕事は出来ている)、改善の余地っていうのはそれほど見当たらない。交代で流れを変えるとかエッセンスを加えるとかいうのが出来ない状況なんで、延長はちょっと苦しいかもしれない。あえて挙げるとすればバロシュセイタリディスを嫌ってか右に流れるんで(結局ついてこられるんだけど)そのせいでポボルスキーのプレーエリアがせばめられているところかな。

延長前半終了間際にギリシャコーナーキックからゴールを決めて勝利。延長戦はあれだな、勝利への貪欲さとかがむしゃらな姿とかの差で決まった感じ。まあ15分しかないんでそういうもんなのかもしれないけど。強豪国はどこもかしこも綺麗にまとまりすぎた結果負けてるなあ。

全体的には、今大会非常にいい仕事をしてきているギリシャの組織的守備が、この試合ではセイタリディスあたりの個人で素晴らしいところはあったんですけど、全体としてはちょっとゆるい部分があったんじゃないかなと思いました。コラーとバロシュには必ず1人はマンマークで付いてっていう形が、逆に組織的守備の特長をちょっと消しちゃったのかなと。それでも何が何でも体を張って止めるとかいう精神的な部分の強さは相変わらず出ていて、結果としてはその差で決着がついた感じなんですが。

ギリシャはフランスやポルトガルのような綺麗なサッカーを組み立てながらやろうとするチームに対しては泥臭くしつこくいって仕事をさせないんで強いんだけど、今日のチェコのような全体が流動的に動いて攻撃するタイプには、守備の形が基本はマンマークなこともあってやや苦戦する印象なんで、デンマークあたりに早い時期に当たってたらここまで来れたかどうか。まあ決勝はポルトガルなんでね、ポルトガルの決勝Tの姿を見ていないんでわからないですけど、結構いい試合できるんじゃないだろうか。優勝したらビックリだな。僕はポルトガル応援するけど。

久保とか柳沢が代表呼ばれちゃった

もうジーコが空気読めないのは今に始まったことじゃないんで別に触れることもないかなと思ったんだけど、自分用メモとしてやっぱりちょっと書く。

柳沢はメッシーナ移籍決定後のこのタイミングで代表につれていかれるっていうのは本人の欧州挑戦の道のりにおいてはひどい冗談ではあるんだが、同じように代表での定位置も確保できてないよね。いや、「とりあえず呼ばれる」って位置は確保してるんだけど、呼ばれるけど出られないっていう今の状況は一番損をする役回りで、柳沢がとりあえず代表で頑張ってスタメン確保してーと思うんならメッシーナほっといて参加すればいいし、メッシーナで早く定位置争いに加わりたいというのであれば代表無視してメッシーナに残ればいい。「代表に呼ばれてコンディションを落とすから使えない」なんつーのは、逆に代表でもクラブでも引っ張りだこになれるだけの実力がないということも言えるのであって、両者とも選択できるだけの能力には及んでいない。もちろんジーコの空気の読めなさは問題というか呆れかえるばかりなんだけれども、柳沢も不甲斐ないよなあとは思う。個人的に思うことを乱暴に言えば、あんた欧州でプレーできるだけのレベルにねーよってことなんだが。

久保は逆にクラブからも代表からも引っ張りだこなんだけれども、怪我を抱えている状態で何でわざわざ代表に呼ぶの、試合に出られる状態じゃねーっつってるだろうがボケ、というのが横浜の主張で、ジーコ側としては怪我の状態確認させてくれよ、それで(代表として)試合に出られると判断したら出すよ? 何か問題ある? という。横浜側でわかんねーのは何でこのタイミングで突然「全治3週間」みたいなことを言い出すのかなーというところで、だって久保を(途中出場ではあるが)使い続けたのは岡ちゃんでね、優勝決まったらあーもう無理だから、とかいうのはちょっと胡散臭い気はする。そもそも久保が怪我を抱えていたというのはイングランド遠征の時点でわかってたことでね、選手のマネージメントを考えるならその時点で「無理です!」つってリーグの試合も出さずに休ませておけばいいんだ。マリノスとしちゃまだ優勝争いの真っ只中で久保を休ませるわけにはいかないし、休めるときに休ませておきたいっていうのはわかるんだけども、選手を駒として考えているのは鞠だろうがジーコだろうが同じで、だけどそれは当然でね、その駒を休ませなかった人が「怪我をしているのに何で代表に呼ぶんだ!」とかいう文句を言うのは通用しないような気はする。もっと言えばその「3週間」とかいうのが、あわよくばアジアカップにも出場させない気でいるとも取れるような感じがするんで、代表で確認させてもらいたいっていう主張にはそれほど「バカじゃねーの」とも思わなかったんだよな。まあでも、ジーコが久保を代表に呼んだのはバカンスで浮かれてて久保の怪我のことなんてよう知らんかったからで、関係者が慌ててもっともらしい理由をつけたんじゃないかとも思うんだけども。

まあ、僕はジーコ嫌いなんでね、クラブがゴネて選手を代表に招集できないんならその結果を良しとは思うんだけどさ。ジーコの戦術的なこととか、他の選手使えよとか、そういうの抜きにして思ったことを書いておきました。