米長会長が週刊現代に連載しているコラムに「名勝負今昔物語」というのがある。
この6月30日号に掲載されたのが斎藤慎太郎(1993・4・21生まれ)四段の記事である。
内容は前半が師匠となる畠山鎮七段への弟子入りのいきさつなどが紹介されている。
後半は16歳三段時に記録係をしたエピソードの記事がある。
平成21年6月26日におこなわれた藤井九段vs谷川九段の第22期竜王戦ランキング戦2組の対局から第1図は後手谷川九段が26香と王手をかけたところである。
藤井九段は37玉と逃げ、以下27飛以下詰まされたが、局後斎藤三段が「藤井先生がこう逃げれば詰まないのではありませんか」と申し上げた手順が26香に対して18玉と逃げて、以下27銀 17玉 16銀成 同玉 15銀 25玉 35飛 14玉で打歩詰の状態となり不詰である。
実はこの手順中、16銀成のところで25飛で後手の勝ちはゆるぎなかったらしいが、その手順は・・・話題の焦点が詰むか詰まないかの場面であったため・・・彼自身の胸の内にしまっておいたという奥ゆかしい?ことまで添えられていた。
さて、斎藤四段は三段時代から詰将棋界ではかなり注目された棋士である。
それは、詰将棋解答選手権のチャンピオン戦の成績である。
毎年3月に開催されるこの大会の過去4年間の結果を示すと次のとおりである。
平成21年 1位:宮田敦史 2位:広瀬章人 3位:斎藤慎太郎(この大会時15歳)
平成22年 1位:船江恒平 2位:井上徹也 3位:広瀬章人・・・5位:斎藤慎太郎
平成23年 1位:斎藤慎太郎 2位:井上徹也 3位:中村太地
平成24年 1位:斎藤慎太郎 2位:黒川智記 3位:竹中健一
*上記を見てわかるように、彼の活躍は眼をみはるばかりである。また、特に平成22年の第7回大会では優勝した船江さんがほどなくしてプロ四段となり、2位の井上さんがアマ名人戦で優勝し、広瀬さんが王位のタイトルを獲得するという快挙が続き、いっきにこの詰将棋解答選手権のステータスがあがった年でもあった。
その昔「無双・図巧を解いたら四段になれる」との米長語録があったが、「詰将棋解答選手権で優勝したら四段になれる」という新しい神話が誕生したらよいと思う。長編も包含する無双・図巧より、中編止まりの解答選手権の方がより実現性があるように感じられるからである。