今年の作品展

studio_unicorn20060423

 過去2年にわたって、私の作品展を清川泰次記念ギャラリーの区民ギャラリーで開いてきたのだが、今年はどうしようか、正直言って少し悩んだ。
 というのも、昨年の作品展のときに、ワット数の制限による思わぬ照明トラブルに見舞われたことがとても気になっていた(2005年11月9日の日記参照)のと、3回目はもう少し一般的な商業ギャラリーだのカフェ併設のギャラリーだのにも挑戦してみたい気持ちもあったのだ。単純に、違うところでもやってみたいというのもあるしね。
 だが、照明の問題は多少改善されたようだし、何より今年の初めは仕事が忙しすぎたので、それについてじっくり考える気持ち的な余裕がなかった。
 まあそれで、過去2回個展をやったということで"慣れ"もあるし、非常に格安だし、とても気に入っているギャラリーでもあるので、とりあえず今年もここで作品展を開こうと申し込み、今日は世田谷美術館で開かれた抽選会に行ってきた。
 その結果、今年の11月7日(火)〜12日(日)に、清川泰次記念ギャラリーの区民ギャラリーで、第3回STUDIO UNICORN作品展を開催することになりました。昨年とほぼ同じ日程ですな。
 今回はくじ運が非常に良く、110組以上いた申込者のなかで14番!と浮かれたのもつかの間、さらにくじ運のいい人がいたために、第一希望の日程を目の前でかっさらわれてしまった……。残念。また搬入日に仕事を休まなければならなくなってしまった。まあでも、今回は倍率が1.6倍と非常に高く(世田谷美術館のギャラリーのほうは2倍近かった)、くじ運が悪ければギャラリーそのものを取れなかったかもしれないことを考えると、開けるだけでも良しとせねばなるまい。
 まあ、なんにせよ目標は決まったので、あとは作品を作ってゆくのみ。今年はどんな仕掛けを考えようかなあ……な〜んて、今度も作品の中心は、今までのような"静謐"を表現した写真とも絵画ともつかない平面ものになるでしょう。でも要望の高いスライドショーもやりたいですね。
 半年以上も先の話ですが、今までの作品展にいらした方々はもちろん、そうでない方も、できれば平日に休みを取って、清川泰次記念ギャラリーにおいでくださいませ(もちろん土日でも大歓迎です)。
 以後、詳細な情報はこのダイアリー上またはSTUDIO UNICORNホームページ内のUnicornコーナーでお知らせしてゆく予定です。ご期待ください。

「かもめ食堂」

かもめ食堂 [DVD]
 午後は妻と新宿に出かけ、映画「かもめ食堂」を観てきた。
 昼過ぎに映画館へ行って夕方の回の整理券を手に入れ、他の用事(パスポートの受け取りや買い物や腹ごしらえなど)を済ませてから、改めて開場15分前に映画館へ。
 我々が観た「新宿文化シネマ4」という映画館は、席数が8×7列=56席しかなく、スクリーンの大きさも、劇場の規模にふさわしくとても小さい。まるで映画会社の試写室みたいだ。さらに、予告編もなく(ちょっと残念)いきなり本編上映。
 もっと奇妙な映画なのかと思っていたが、思いのほか普通(笑)に面白い、心地よい映画だった。ヘルシンキの風景や、キレイなお店の中の様子が素敵。それに、随所に出てくる料理! シナモンロールや豚肉の生姜焼きや鮭、とんかつや鶏肉の唐揚げ、そして物語のカギであるおにぎり。空腹時にはとても危険なくらい美味しそう。なんとも食欲をかきたてる(笑)、素敵な映画だった。フィンランドを舞台に、おにぎりや日本の定食が活躍する(笑)映画でした。詳しくは私のホームページSTUDIO UNICORNのレビューにいつか書く予定。フィンランドはまた行ったことがないので、行ってみたい気分がすごく高まりました(2006年4月19日の日記参照)。
 観終わって、いい気分でプログラムを買って(このプログラムも凝った装丁で面白い)読むうちに気づいたのだが、この映画は群ようこさんの原作(?)を基に作られたのではなく、群さんの小説のほうがむしろ映画のために書き下ろした、半ノベライゼーションみたいなものであると知った。しかも、出演者の映画にまつわるエッセイも出るらしい。それらは全て幻冬舎から出るという。というより、幻冬舎日本テレビなどとともにこの映画を仕掛けている張本人なのだと知って、ちょっと幻滅。
 いや、別に「最近スローライフや"ほっこり"や北欧が流行りだから、いっちょそれで儲けてやろう」と、こういう映画のプロジェクトを作ること、それ自体は別に結構なのですよ。映画そのものは楽しませていただいたし。それが幻冬舎だ、というのがモンダイなのです。幻冬舎ファンの方には申し訳ないが、この人たちの商売っ気には、はっきり言ってモラルを逸脱した、悪辣な「えげつなさ」を私はすごく感じるので、どうにも好きになれないのだ(あくまで個人的印象ですのでご了承ください)。児童虐待のテーマを扱うのは構わないのだが、それを必然性がないのに「売らんかな」のために無理やりミステリーだと宣伝しまくったかのような(しかもミステリーとしては最悪だった)、要するに真剣に向き合うべきテーマを商売のために利用したようにしか見えない最低小説「永遠の仔」や、テレビのワイドショーや週刊誌を総動員して、ヒロミ・ゴーの頭の中で「お嫁サンバ」が鳴り響きまくったごとき「ダディ」など……幻冬舎と聞いたとたんに、急にそれらと「かもめ食堂」が同列に見えてきてしまい、すごくイヤ〜な気分になった。せっかくいい映画だったのに、残念。

(写真は、雨まじりの新宿高層ビル街にて)