そんなァ時代もォああったねとォ

中学生のころ、学区の中に貸本屋さんがありました。
おばあさんが一人で趣味でやっているような、土間に4人も入れば一杯になるような本当に小さな店でした。確か文庫本も少しあったけれどメインはやはり漫画。


おばあさんの座る前には最新刊の週刊誌が並び、書棚には単行本が並んでいた。細かい事は忘れてしまったけれど、初めての客は氏名住所をノートに書き込んで
借りたい本が決まると料金を添えておばあさんに渡す。するとおばあさんは表紙に客の名を書き込んで、中身だけ貸し出してくれる。そんな「システム」だったような気がする。


ある時、私が絵が得意だと言うと
おばあさんが「それじゃ、このマンガの表紙を描き直してくれないか」という。ボロボロになった表紙のマンガ。それはジョージ秋山の「アシュラ 」だった。

テンションの上がった私は寝食を(おーげさ)忘れてペンを振い、渾身の一作をおばあさんに手渡した。今思えばあれが人生初の労働と対価だったのか?

おばあさんはお礼に好きな単行本をあげるという。


その時迷わず選んだのが上の「こだま」

当時大好きだった矢代まさこの作品が入っていたから。






表紙の裏にはその頃好きだったSさんの名前が入っていた。あまりにもありふれた名字なので他人だったのかもしれない。でも、
いやいや、これはきっとあの人だ。あの人もきっとこの、同じ本を手にしたのだ。私は勝手にそう決め込むことにした。


Sさんもマンガを描くのが好きで女の子がポーズをとったイラストを描いたりしていた。席が隣だったので「へえ、うまいじゃん」みたいなのがきっかけでときどきイラストを交換したりもした。そう、当時マンガを描けるというのは特技のように思われていたようだ。

 それが、メモになり手紙になり、やがて交換日記になっていったりするんですが、それはまたの機会に・・・・^0^;

じつはその貸本屋の存在を知ったのも彼女の紹介。

お店は彼女の通学路の途中にあるのだけれど、私にとっては学校をはさんで全く正反対の方角なのでした、お立ち会い。!^0^

店にいけば彼女に会えるかも・・・・・というヨコシマな期待で通ったわけですが、当然そんな無理が続くはずはなく、だんだんと足が遠のいていってしまいました。




彼女は東京の女子高へ、私は県立高に決まり通信手段もなく、卒業してそのままなんとなく・・・というかんじでした。






朝の駅で何回が見かけて「ふむ、向こうは7時30分の上りか、ならばワタスもこれからこの時間に合わせて・・・」
と早起きしたりもしましたが、そんな無理もまた続くはずもなく^0^ ぎりぎりの8時4分くらいの下り電車に乗るのが当たり前になってしまいました。

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あれから幾星霜・・・・・・






忘れもしない岩瀬の住吉文庫。

先日書店にいくとなんと「アシュラ」の復刻本が平積みになっていた。
へえ、!なんでまた、今、アシュラなんでしょう。
手に取ろうとしてやめました。


中を開けたら想い出がふらーっと流れ出てしまうような気がして。







文通コーナー!!!!!

「なに?ブンツーって」息子達に言われそう^0^;