前の記事で白土三平の『忍者武芸帳』のことを書いた後、偶然にも上野昻志さんが 2020 年に書いた『「読解力」を巡る一考察』なる文章をネットで見つけて、それを読んでいたら『忍者武芸帳』 のことが出てきた。上野さんの文章は中公新書の『教養主義の没落』 (竹内洋) をひきながら, 学生における読書の歴史的変遷を辿ってみようというもので、なかなか面白かった。一部だけあげておく。 なお、上野さんは別のところで「単行本漫画一冊がせいぜい三万円で、しかも二冊描いて売れなければ即座にクビという劣悪な条件の下で、「命がけ」で食うために描くという行為は、諸々の意識の問題に向うよりも、まずは直接的に肉体の苦痛にぶつ…