商業マンガ史的にはメインストリームではないが漫画読者、社会への影響力の面ではほぼ不動の評価を得ている作家4名の評伝を各作家ごとにまとめつつ、相互に対比させていく形で描かれるマンガ評論。 分量としては各作家を均等に扱っているが構成的に中心となっているのは明らかに吾妻ひでおで、吾妻の章ではそれまで坦々と進めていた筆致が確信犯的に暴れだし、著者の、作家と同時代を共有できたことへの歓喜を込めた砕けた文体が本書のクライマックスとなっている。 『失踪日記』は第三四回日本漫画家協会賞大賞、平成一七年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第一〇回手塚治虫文化賞マンガ大賞、第三七回日本SF大会星雲賞ノンフィクシ…