漫画家。1949年5月12日、福岡県大牟田市生まれ。本名も同じ。
手塚治虫の「新選組」に衝撃を受け、漫画家を志す。1969年デビュー。 少女漫画史上、もっとも重要な作家のひとり。繊細な心理描写と流麗な画面構成は数多くの作家に影響を与えた。 シリアスからコメディまで幅広い作品を手がけ、長篇、短編どちらにも非凡な才能を発揮している。 2007年7月より、「萩尾望都パーフェクトセレクション」全9巻を刊行開始。
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1984年「プチフラワー」1月号 現在、萩尾望都作品として最も有名な作品なのではないでしょうか。 萩尾作品を知らない人に勧めるにもわずか16ページを読むだけでいいのですからと言いやすい。 そしてその作品がほぼ萩尾望都の本質に迫っているとも言えます。 ネタバレします。 こうして萩尾作品をずっと追ってきて再読するとますますこの作品は萩尾要素がほぼ含まれていると言える気がする。 何故突然にこんな作品が、ではなく彼女が何度もというよりほぼすべてで繰り返し描いてきたものを凝縮している一篇にしかすぎないのだ。 もっとも似ていると言えるイメージは『メッシュ』3巻「苦手な人種」のルーとポーラだ。 ここでは姉妹…
1983年「プチフラワー」9月号 萩尾望都作品リストを見ると1983年はこの作品のみになっている。 それは萩尾氏が1982年の年末にモスクワ郊外で乗っていた観光バスがトラックと衝突したために重傷を負うという事故ゆえだろう。 同行者の証言で「萩尾さんが死ななくてほんとうによかった」と言われていることからも奇跡的な生還だったのではと思われます。 この事故で萩尾先生が死ななくてほんとうによかった。生き延びてくれて本当にうれしい。 なにしろこの後、萩尾氏は名作をどんどん描いていく。いやむしろここから、という気さえする。 読者の身勝手な言い方ですが神様に感謝です。 そしてこの作品。私は未読だと思い込んで…
『花々に住む子供』1979年「月刊プリンセス」1月号 前にも書いた通りwikiに記述されているとおりに作品を追っているのですがこの二つを飛ばしていたのでここで記事にします。 私が持っているのは『銀の船と青い海』に収録されたものです。 ネタバレします。 『花々に住む子供』 「学問を愛する独身主義の私」である中年男(と見えるが萩尾氏作品の例から思うに30代だろう)が11歳の双子の遺子を引き取る羽目になってしまう、というエピソードがイラスト付きで語られる。 萩尾氏作品には常に「親嫌い」の心理が描かれ続けてきたがもうひとつ「こどもはかわいい」の心理もうかがえる。 萩尾氏自身は世代のせいもあってか結婚も…
ネタバレします。 憧れの少年ラドリがてんで頼りなくて顔だけ可愛いやつなのが良い。 ただし超能力は持つ。ん?これは普通男女逆のやつだ。 ミラはラドリを助け出す。 ドクター院長は早くこの世界から逃げようと提案するが、ダダ王子が黒の王に捕まってしまったのをミラは見捨てておけずこの世界に残る。 黒の王の老いが迫ってきていた。 王は息子と認めたラドリとおてんば姫のスピカを結婚させようとする。黒の王はかつて真実の恋をしたが実らず、その腹いせに権力を得ようとして「ラセンの夢魔」を呼び出し利用していったのだ。 そして邪魔者を次々と殺し王の地位を得たのである。 しかしその命は「食」までだった。食になれば悪夢の力…
書き忘れたが本作『モザイク・ラセン』私は今まで読めなくていたのですが(中に入れなかった)その一つは異世界転生モノだったからかもしれない。 というか、今回読んで異世界転生モノだと知ったくらいの認知だったのですが異世界転生モノって「なんかユルい」という共通点があるのでしょうか。 しかし今回読み込んでいて異世界転生(正確に言うと違うかもだが)にもそれなりの良さがあるように感じてきた。 ネタバレします。 というか萩尾望都の異世界はやはり独特で気持ちがいい。 いわゆる偽中世ヨーロッパにはほとんど魅力を感じない。 偽中国ものが流行り出したのもあるし今後は様々な偽国風が現れるとよい。 しかし問題はそこだけで…
1982年「月刊プリンセス」9~12月号 この作品はいわば萩尾望都作ライトノベル。異世界転生モノというカテゴリでしょうか。 アニメ化してくれい。 ネタバレします。 美羅(ミラ)は八歳の時から時折不思議な夢をみてしまう。 夢の中でのミラは白い鳥になって飛び谷間にいる黒い鳥の少年に話しかける。 父母が次第に緑色になっていく。全身緑色になったら次は僕の番だろう。 三か月前の夢の中で彼はそう語りぷつりと夢を見なくなった。 イギリスの寄宿制女学校で生活するミラにはサマティ、ボルダという親友がいる。 ボルダはミラにラドリ・マッキャベリというモデルの写真を見せてくれる。 それはミラの夢の中の少年にそっくりだ…
モリとタクトが表紙なんだよな。 ネタバレします。 『AーA´』「月刊プリンセス」1981年8月号 優秀なコンピューター技師であった19歳のアデラド・リーはプロキシマ第5惑星ムンゼルでの事故で死亡した。 その後、クローン再生によって戻ってきたアデラドを仲間たちは大喜びで歓迎するがただひとりレグは「アディではない」とクローンを拒絶する。 ところが戻ってきたアディは三年前の不愛想だった彼女に初期化されており仲間たちは彼女の冷たさに戸惑う。 逆にレグはアディを異性として愛していたために「あれは彼女ではない」と否定しながらもどうしてもその感情は強まっていくのだった。 アディは一角獣種という特殊な存在であ…
ネタバレします。 (五)夢籠 マーリー・2を慰みものとして側に置いたままリザリゾ王は我が子である忌むべき王子を殺し続ける。 そしてそのたび王子は生き返る。 (余談だが『赤影』の阿魔野邪鬼は時空人だったのかも) ふだんは盲いた老婆がふたり王子の世話をしている。そしてお呼びがかかると王子は連れ出される。 マーリー・2は幽霊のような存在でしかなく悲しい目で王子を見つめ時には城下をうろつき旅の楽師を探しては歌を聞きたがる。 王は子どもを殺し続ける。 マーリー・2は王子を助けたいとは思っているが王子、パントーの運命を解き目覚めを誘う歌が見つからず、そのために道を見つけ出せずにいた。 歌わない鳥 流れない…
第三部 (一)交錯 マーリー・2は赤ん坊の王子を抱きながら捕らわれた王子を眺める。 「何度も殺される」という言葉は様々な加害を思わせる。繰り返される性加害、殴打、酷い言葉、食事を与えられない、などの。 子どもが15年間その加害を受け続けそしてそれからもその暴虐から逃れられないと察知したら。 しかもこの王子は動くことさえできず夢を見ることしかできないのだ。 ジェイフは再生されたマーリー・3に会いに行く。 マーリー・3は順調に再生しチェッカーと面会した。マーリー・2が頼りなげだったためチェッカーは3にも「私が恋しくなったか」と問うと3はにべもない態度でチェッカーは今更2のほうが可愛げがあったと気づ…
ネタバレします。 (六)消失と再生 ラグトーリンはマーリーに撃たれるがその途端ラグトーリンの髪を覆っていた布が解け長い黒髪がほどけ舞うようにマーリーの首に巻き付いた。 外で待っていたタカオは異変に気付き中へ入る。 そこには今まで一度もターバンを解いて黒髪を見せてくれなかったラグトーリンがその黒い髪を垂らして立っていた。 そしてその足元には中央からの客マーリーが倒れていた。 タカオはマーリーの遺骸を担ぎ上げ谷に埋める。そして優しくラグトーリンに声をかけた。「心配することはないよ。あしたにでも羊をつれて遊牧に出よう。・・・そのうち子どもが生まれたらいっしょに育てよう」 しかしラグトーリンは寂しげに…