漫画家。1949年5月12日、福岡県大牟田市生まれ。本名も同じ。
手塚治虫の「新選組」に衝撃を受け、漫画家を志す。1969年デビュー。 少女漫画史上、もっとも重要な作家のひとり。繊細な心理描写と流麗な画面構成は数多くの作家に影響を与えた。 シリアスからコメディまで幅広い作品を手がけ、長篇、短編どちらにも非凡な才能を発揮している。 2007年7月より、「萩尾望都パーフェクトセレクション」全9巻を刊行開始。
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二巻へと参ります。 本作は実写映画化やりやすいと思うのに何故やらないのだ? ネタバレします。 〔その7:きみに肩車してあげた] 渡会と百田氏は「胡蝶の夢」(我が蝶か、蝶が我か)と言う論議をする。 渡会は話さないがキリヤがイメージしただけのバルバラが現実に瀬戸内海に出没していることが現実となってしまったら、と問う。 「そうなれば我々の方が非現実となってしまう」 「ぼくたちのこの世界が夢になる、誰かの夢に」 「もしも青羽が目覚めてしまったら?」と渡会は問う。 両親の死とその心臓を自分が食べてしまったという事実を知ることになる。 しかし味方になってくれる者はいない。十条菜々美は最大の敵となる。 ・・…
ネタバレします。 本作で萩尾望都は子供を愛しているのに愛してはもらえないといういつもと逆転した父親を描くというチャレンジをしているが他にもちょこちょこ「いつもと違うテスト」をやっているようだ。 例えば30代の十条菜々美が10歳も若いエズラと恋をして結婚するというような設定は今では驚くほどのことではないが萩尾マンガではこれまでなかったことに思える。 そもそも萩尾キャラクターはわりに老けていてやや未来の話とは言え80代女性をあそこまで若く描くのも珍しい。 だが一番の「これまでにない」感は主人公の渡会時夫の「おたおた感」だ。 30代男性の主人公がいつもおたおたしながら不安げに進んでいくのが面白い。 …
萩尾望都の後期作品の一筋縄ではいかない感じがたまらない。 いったいどうしてこんな話がどこから生まれてくるのと頭をひねくり回してしまうのです。 そして今回気がついたけど本作はわりと目の描き方があっさりしているのですよ。 私は実を言うと萩尾氏の描く目がきつく感じてしまうので目が軽い本作は必然的に好きなのだ、と今更認識しました。 ネタバレします。 [その3:公園で剣舞を舞ってはならない] もうね、キャラクターがひとりひとり魅力ありすぎでワクワクしてしまうんんだよなあ。 少年らしい繊細さと過激さを持つキリヤ、対照的におっとりとしているがおどおどしている渡会時夫と言う父子をはじめ、なんとなくエキセントリ…
2002年9月号~2005年8月号「フラワーズ」 この『バルバラ異界』は以前も書いたことがあるのでより細かく書いてみたいと思います。 私にとって萩尾望都作品で最も好きな作品です。 ネタバレします。 これが中表紙。なんと平和な幸福な場面だろう。 年齢のせいでこういうので涙が溜まる。ダメすぎる。 [その1:世界の中心であるわたし] 冒頭は右下の女の子、青羽のおばちゃんマーちゃんの呼び声から始まる。 そして青羽のモノローグ 「あたしはバルバラが世界の中心だと思っていた」 ヤギ小屋で昼寝する三人の子どもたちが示すようにのどかでやさしい世界が描かれる。 朝はマーちゃんが焼くパンケーキをヤギの乳で食べ、青…
1998年「チャイルド 異形コレクション7」に描きおろし ネタバレします。 ユウにいちばん帰ってきてほしかったのはぼくだったかもしれない・・・ 『アロイス』を思い出してしまうお話でした。
1994年「ビッグゴールド ビッグコミック増刊」16号 一見、SFファンタジー風味の不思議ラブストーリー、だがその正体は。 ネタバレします。 世の中は自分が見たいように見える。 逆に言えば見たいようにしか見えない。 つまりほんとうのものは見えていない。 見たくないものは見ない。 という作品だ。 よく好きな人が好きなアイドルに似ている、と思うのもその一つである。 他人が見るとまったく似ていないのに補正をかけて「似ている」と思ってしまうのだ。 特に若い時は思い込みが激しく強い。 だからある人を激しく好きになり尊敬してしまう。 そしてその人が「そうではなかった」と知ると激しく幻滅してしまうのだ。 「…
1994年「ビッグゴールド ビッグコミック増刊」14号 萩尾作品定番の親と子の確執問題ものではあるが初めての(かな?)主人公が母親で母親側からの目線で描かれた確執であります。 ネタバレします。 主人公の賞子は42歳(この時萩尾先生は45歳くらいだから同年齢女性を描いたといえる)娘と息子を一人ずつ持つ(もちろん夫は一人)専業主婦である。 学生時代からの友人とトリオを組んでいて料理教室に通ってはおしゃべりをするのが楽しみというような感じのおっとりした中年女性なのである。 さてこの賞子の価値観は萩尾氏の持つ本質的なものだとしていいのか。 この時代の一般的中年女性と考えるべきなのか。 1990年代の4…
ネタバレします。 高校・文化祭でマヒコの1年1組は「シンデレラ」の芝居をやることに。 シンデレラはマヒコ、王子様は律子、という配役だ。 そんな時、マヒコの隣家に金太郎という青年がやってくる。隣家にはおばあちゃんが住んでおりその孫なのだがなぜかマヒコにはあたりが強く。 その金太郎は両親から「おまえがおばあちゃんの養子になればお金を貸してもらえるのよ」という無体な身売りをしろと言われて良い子ぶっていたのだった。 おばあちゃんが一時危篤状態になり両親は遺産が入ると大喜びするがおばあちゃんは奇跡の生還をしたのだった。 しかしおばあちゃんが金を貸してくれるとなって一段落。 金太郎も自由の身となって美大を…
「ASUKA増刊ファンタジー」DX」1992年夏の号・秋の号~1994年10月号」 本作再読して驚きました。 これはもうひとつの『残酷な神が支配する』ではありませんか。 ネタバレします。 黒髪の可愛い顔の弟と白髪のイケメン兄という設定はまったく同じ。 しかもこのようにイケメン兄アズが可愛い弟マヒコをいつも襲うという設定(チガウ) 両作品の執筆はほぼ同時期に始まっているのでこの設定自体は並行して考えられたはずだ。 しかもふたりの両親は自動車事故で死亡してふたりきりで暮らすというのも同じ。 (まあ『残酷な』は金持ち過ぎて単純なふたり暮らしにならないが) 違うのはあちらがドシリアスなのにこちらはかな…
最後の巻になってしまいました。 ネタバレします。 年末年始をずっとベッドで過ごすジェルミとイアン。 気づくと1月4日になっていてやっとふたりはベッドから出て動き出す。 早く日常に戻って勉強を始めようとするイアンの前にまたジェルミが現れて彼の心を振り回す。 かつてこの記事で「萩尾マンガでは美しい少女が男子を振り回すのが定番」と書いたが美少年も同じであった。 そうした関係性が好きなのだろう。 しかもジェルミはそれを気づかず「ぼくはいつもイアンの言う通りにしてきたのに一度くらい言うことを聞いてくれたっていいじゃないか」と涙しイアンは途方に暮れるのだ。仕方ない。惚れた弱みというやつだ。 ジェルミはペン…