漫画家。1949年5月12日、福岡県大牟田市生まれ。本名も同じ。
手塚治虫の「新選組」に衝撃を受け、漫画家を志す。1969年デビュー。 少女漫画史上、もっとも重要な作家のひとり。繊細な心理描写と流麗な画面構成は数多くの作家に影響を与えた。 シリアスからコメディまで幅広い作品を手がけ、長篇、短編どちらにも非凡な才能を発揮している。 2007年7月より、「萩尾望都パーフェクトセレクション」全9巻を刊行開始。
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最終巻です。 ネタバレします。 美しく気高いマルゴは最期までアイデンティティを失わなかった。 自我を持ち続けた女性だった。 彼女は母后カトリーヌに厳しく躾けられ母を怖れ続けた女性で、だからこそ萩尾望都はマルゴを描いたと思われるのだが作者自身の成長のためか、マルゴは母を嫌悪しながらも上手く回避し時には逆らって行動していく。 以前の萩尾マンガにおける母親にはなんの対処もできないままの主人公とは大きく違うのが今回読みなおして感じたことだった。 母后は政略に子供たち、むろんマルゴも使っていき場合によっては死へ導く場合もあるのだがマルゴ自身は「そういう人だから」とため息しつつ開き直っている。この強さを萩…
うるわしい『王妃マルゴ』もついに七巻となってしまいました。 ネタバレします。 マルゴはナヴァルのアンリをベアルンに残しひとりフランスに戻る。 そしてサパン、今はジャックと呼ばれている我が子とついに再会する。 ジャックは父親かと思っていたアンリ三世にも失望しマルゴが近寄っても反発するのだった。 マルゴはすべてアンリ三世の仕業だと気づき改めて兄アンリに憎悪を抱く。 がアンリ三世のほうもマルゴに悪態をつきパリから追い出してしまう。 その後もジャック(サパン)を間にして兄アンリとマルゴの確執は続く。 アンリは本当に愛してほしかった人からは愛されないと嘆くが母から溺愛されデュ・ガストという忠実な愛人が長…
さすがに表紙になることはないがやはり歴史的に一番のヒロインはなんといってもカトリーヌ・ド・メディシスでしょう。 彼女の表紙は・・・・無理ですかねえ。 ネタバレします。 シャルルが24歳で死去。 アンジュー公アンリはポーランド女王に言い寄り宝石類をだまし取って(ほんとに?)フランスに逃亡帰国。 そしてフランス国王となる。 コンデ公の妻で身重のマリーを后にしたいと願い出るが(母后のさしがねでか?)マリーは葬り去られる。 (ここにアンリ三世はデュ・ガストを使い手紙を届けさせたためにアンリはデュ・ガストがマリーを毒殺したと疑うこととなる) アンリ三世は悲痛のあまり髑髏の衣服を纏う。 母后に逆らいルイー…
ではマルゴ自身をどう思うのかと言えば強く惹かれます。 一般的な歴史としては派手な男性遍歴と謳われてしまう彼女ですがこうして萩尾望都のマンガとして描かれれば純粋に愛を求めた女性として共感できるし魅了されます。 ネタバレします。 五巻の冒頭は萩尾望都『王妃マルゴ』の中でも圧巻だ。 母后カトリーヌはカトリックの王女マルゴとプロテスタントの王アンリの結婚を契機に一気にユグノーの一掃を企んだ。 この時母后は娘マルゴを夫の寝室へ向かわせる。 幼い頃にも殺戮に怯えて泣いた国王シャルルは自らの命令で虐殺されていくユグノーの死体に奇声をあげながらも狂ったように銃を撃ち続ける。 大虐殺を率いていくのはアンリ・ド・…
アンジュー公アンリ。なんやこいつ。むかつくヤツ。 しかし物語には絶対必要なヤツなんよな。 ネタバレします。 そんなアンリに対しマルゴは嫌悪を激しくぶつける。 マルゴがはっきり文句を言う女性なのが良いのだなあ。 一方、シャルルはコリニーに上手く言いくるめられまたも「父上」と呼んで信頼していく。 マルゴとナヴァルのアンリの結婚はマルゴが嫌がっても着実に母后によって進められていく。 阻むのはアンリの母ジャンヌだったがメディチ家(薬剤師)の生まれであるカトリーヌは彼女を美しい手袋を贈って毒殺する。 国王シャルルは后となったエリザベート・ドートリッシュとも愛妾マリー・トゥシェとも円満に仲良く、アンジュー…
なぜシャルルが一番好きなんだろう。よくわからん。 ネタバレします。 マルゴの美しさは輝くばかりとなっていく。 ギーズとの恋は秘められたものだったがふたりの間でより強くなっていた。 母后カトリーヌへの怖れは変わらないがスペイン語やラテン語が得意なマルゴは母から手伝いを頼まれるようになる。 カトリーヌは商売の大家メディチ家の出身である。政治は戦争だけではなく駆け引きと取引で解決するのが基本だとマルゴに教えるのだった。 アンジュー公アンリは女装をしてマルゴを待ち構えていた。 マルゴは兄アンリに「ギーズが好きなのね」と問う。 しかしアンリは「わたしが好きなのはおまえだ」と言い彼女の処女を奪ってしまう。…
アンリ・ド・ギーズ。 亡き父の仇を討つために自らの顔に向こう傷をつける。 そんな豪放磊落な男にマルゴは強く惹きつけられる。 ネタバレします。 マルゴたちは母后カトリーヌに従いフランス一周の旅に出る。 ところで私はアンリ・ド・ギーズよりシャルルが好きなのだけど皆そうなのだろうか。 そしてアンリ・ド・ギーズより田舎者のナヴァルのアンリのほうが良いと思う。 兄のアンリはなあ、あいつ。 マルゴは14歳となり社交界デビューを果たす。 ますます美しく艶やかになり男たちを魅了していく。 そんなマルゴを国王であり兄であるシャルルは溺愛し修道院に入れて自分だけのものにしたいと言い出す。 性愛に生きたいと本質的に…
「月刊YOU」2012年9月号~2018年11月号→「Cocohana」2019年1月号~2020年2月号 16世紀フランス。 後に王妃マルゴとなるマルグリット・ド・ヴァロワの一生が描かれる。 カソリックとプロテスタントの対立が軸となる。 ネタバレします。 王妃マルゴ。マルグリット・ド・ヴァロワ。 特に西洋歴史を学んだことのない一般日本人としては聞き及ぶこともない名前ではないか。 私はまったく知らなかった。 彼女の母、カトリーヌ・ド・メディシスであればうっすらと聞いてはいた。 それはたぶん彼女の夫であるアンリ2世と彼より18歳年上の愛妾ディアーヌのエピソードで知っていたのだが。 正妻との間に9…
2012年 萩尾望都作品集『なのはな』に描き下ろし 「銀河鉄道の夜」は死んでしまった人が乗る汽車なのだ。 それを思うとほんとうに悲しい。 同様に「ひかりの素足」のお話が語られる。 宮沢賢治の物語の中でも最も怖く痛々しい描写がされるがこの中では救済の部分だけが取り入れられている。 唯一の慰めだ。
「月刊アフタヌーン」2010年3月号~4月号 ゲバラと白湯はいわば探偵役のような感じになり表紙に描かれている兄妹ハルカと彼方の物語になります。 ネタバレします。 本作はもう前作の『菱川さんと猫』を上回る不思議話だ。 白湯は小学校で同級だった彼方と偶然再会する。 ほっそりした彼方は美少年を思わせる。 白湯はそのまま彼方の家を訪問する。 そこには驚くほどたくさんの水槽が置かれ様々な海水魚、淡水魚、古代魚などが飼われていた。 それは彼方の兄であるハルカが世話しているものだった。 仲が良すぎるほどの兄妹の話だがだからと言ってふたりがそこに性愛を求めるものでもない。 萩尾氏は「エドガーとメリーベル」とい…