歴史修正主義者?

歴史修正主義者」というのは前から引っ掛かっていた言葉である。

歴史修正主義者とは、「自らのイデオロギーに都合の良い様に歴史を改ざんするもの」という意味で使われているようである(「改ざん」である以上、ある種の意図的な悪意がそこに潜んでいる事になる)。実質的には、左派が右派に対してのレッテル張りとして使われる事がほとんどである。

ただ「ネット右翼」等であるなら分かりやすいが、「歴史修正主義者」の場合、それだけでは意味が伝わり難いように思える。歴史学者等が、研究の結果歴史を修正する必要があると感じて問題提起なりした場合、(歴史学的な意味での)「歴史修正主義者」という言葉を使う可能性があるのでは無いだろうか?いわゆるレッテル張りに使用する「歴史修正主義者」と混同しないように注意する必要があるだろう。
それ以前に、その「歴史修正主義者が自らのイデオロギーに都合の良い様に歴史を改ざんしている」というのを、どう客観的に判断するのだろうか?史料などを用いて矛盾点を突いて論破したとしても、それは歴史修正主義者以前にただの無知、嘘つきと評価した方が適切なように思える。あるいは、「明らかに悪意を持って歴史の解釈を行っている」ものと、「悪意では無く己の勉強不足から誤った歴史の解釈を行っている」ものとで棲み分けすれば良いのだろうか?その場合であっても、前者の「悪意」は客観的に証明する必要があるだろう。史料闘争を経て間違いを指摘する事は可能でも、その間違いが意図的であると証明するのは少々難しいように思えるのだ。

言葉遊びなどするつもりは無いが、この「歴史修正主義者」というレッテル張りには少々違和感を覚える。前述の問題点ももちろんだが、第一「歴史修正主義者」呼ばわりしている側の人間の歴史観が、特定のイデオロギーに染まっていない一般的なものであるのかどうかが分からないし(これも客観的に示すのが難しい)、更に言えば、あたかも「自分の歴史感は客観的で正しい」等とと思い上がっているような印象を受けるからである。


http://d.hatena.ne.jp/inunumaa/20110914/1315970640

inunumaaさんは上記ブログで、ウィキペディアを「歴史修正主義的」であると論じている。具体的にどのような記事のどの部分にそれが見て取れるのかを書いていない為検証のしようが無いのだが、「歴史修正主義的」なんて周りくどい言い方はせずに「右寄り」とでも書いた方が余程しっくり来る気がする(余計なお世話だろうが)。