「劇場版 仮面ライダーウィザード/獣電戦隊キョウリュウジャー」感想


 毎年恒例の東映二大ヒーロー劇場版。


 一本目。「獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリンチョ・オブ・ミュージック」

 ミュージックと銘打ってはいるものの、レ・ミゼラブルよろしく唄って踊りながら戦うシーンはほぼ皆無。変わりに、敵も味方も某シンフォギアがごとく急に歌い出す謎展開で、よく言えば賑やかで楽しく、悪く言えば親子ともどもポカンとする事必至の仕様。
 もっとも、その歌もまったく必然性がないわけではなく、しっかり物語のキーとして機能しているのだが、如何せんヒロイン演じる中村静香の歌唱力が正直残念すぎるのは痛い。制作費の都合か、水樹奈々クラスを連れて来いとは言わないが、せめてもう少し、オッパイ以外のセールスポイントがほしかったところ。

 まあとはいえ、結構いろいろやりながら、30分前後の上映時間内にキレイに収める構成技術と、サブミッションを取り入れた、いい意味でケレン味溢れるアクションはさすがの一言。上記のヲタ目線的ツッコミどころはさておき、徹頭徹尾対象年齢を考慮して作られた、実に分かりやすいヒーロームービー。
 大人数のエキストラ(?)を使ったコンサート会場での戦闘とEDのダンス、そして坂本監督ならではのワイヤースタントと太ももズームにも注目(笑)。


 続いて二本目。仮面ライダーウィザード in Magic Land」

 魔法流通システムやマヤ王子の件、面影堂に見習い指輪職人として働く少年・シイナ等、一見蛇足かとも思える部分が、後半になって一気に意味を持ち、収束していく上手さは、まさしく香村純子脚本ならでは。ただそれだけに、敵役がソーサラーファントム3人組を除けば量産型のメイジだけだったりと、見た目ややインパクトに欠けたのがあまりに惜しい。

 例えば、載寧バンバン龍二くん演じる近衛隊長だけは特別仕様のメイジに変身できるとか、彼と彼に近い数人のみが今回の黒幕の計画を知っている、あるいはハナからグルだったか、実は王子を守るためにあえて〜、といった要素が、あと2、3パンチあっても。制作上の問題か、例のアレの参戦が見送られた点も含め、よく出来てはいるし、満足度も比較的高いのだが、腹八分のところを六分か七分で止められたような、何ともいえないオアズケ感が覚えてしまった。

 もちろん、両作ともに観て損するような出来ではなく、同シリーズのファンなら劇場に足を運んで問題ない作品。まあ、基本子供向けの特撮映画に、そんな過度の期待を寄せる奇特な方もそうそういらっしゃらないとは思うが(とはいえ、ヘタな大人向けよりはるかに面白い、期待以上の作品も多々ある。念のため)、気になったらGOでOK。そんな感じ?


 ところで、魔力が通貨の代わりになるという魔力流通システム。一瞬、ジャスティン・ティンバーレイク主演の「TIME/タイム」を思い出してしまったが、それはともかく、だとするならば、あの世界での魔力は晴人くんのように時間の経過かドーナツで回復するものではなく、労働の対価として支払われるものなのだろうか。
 また、コヨミちゃんや一部の登場人物のように、先天後天に関わらず魔力を持たない者の生活は?社会不適合者として秘密裏に処分されてしまうとか?うーん、謎だ。


 ☆☆☆★★

 つーか、ソーサラーはどこでベルトを手に入れたの?星3つ!!