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アスペ日記

2014-02-09

「了解」は失礼か?

最近、「了解」は失礼だという説が出てきているようです。

どこの誰が言い出したのか知りませんが、ごく最近であることは確かです。


少し前のマナー本には、そんなことは書いてありません。

たとえば、2003年のこれだけは知っておきたい! 改訂版 ビジネス・マナーハンドブックには、次のようにあります。


しかしそうしたルールができていない社外の人からのメールを受信したときには、「メール、受けとりました」「その件、了解しました」など、簡単でよいからすぐに返信し、…


また、2005年の「こんなことも知らないの? 大人のマナー常識513」というマナー本には、次のような記述があります。


内容に疑問のあるときにはその点を記して送信しますが、そうでなければ「メール拝見しました。○○の件は了解しました」などと簡単な返信でかまいません。


しかし、2008年の「信頼される社会人へのパスポート敬語検定*1には、次のようなものがあります。


最近、若い人の間で増えているのが「了解しました」「了解です」などという答え方です。しかし、「了解」の意味を辞書で調べてみると「事情を思いやって納得する、理解する」とあります。ですから、承諾するという意味で使うには、あまりふさわしいとはいえません。


ほかにもいろいろと見てみたのですが、「了解」失礼説が出てきたのは、どうもこの2008年あたりのようです。


さて、「了解」は失礼なのか。

これは答えが出る問題ではありません。

「了解」という単語はただの入れ物なので、それにどのような意味・ニュアンスを入れて使うかは使う人によるからです。

時代によって、そのニュアンスは移り変わることもあります。


有名な例としては、「貴様」があります。

辞書にもあるように、昔は「目上の相手に対して、尊敬の気持ちを含めて用いた語。貴殿。あなたさま。」という意味だったのですが、使われるうちに尊敬の意味が薄れて、ついに罵倒専用の表現になってしまいました*2


「了解」の場合、「『了解』という言葉は失礼だ」という考えが、徐々に広がりつつあるようです。

この考え方に触れた人は、ある人は「そうだったのか」と了解=失礼説を受け入れ、ある人は「そう考える人もいるのか」と了解を使うことを控え、またある人は「そんなわけがない」と無視するなど、いろいろな反応がありえます。

この三通りの場合、前二者は積極・消極的にこの考えを支えることになるので、結果として広がっていくことになりがちです。


このように、人々の間でコピーされる情報の単位を、遺伝子になぞらえて「ミーム」ということがあります。

今回の「了解=失礼説」のような、「○○という言い方は失礼だ」というタイプのミームはコピーされやすく、増殖しやすいように思います。


過去に起こったこのような「○○失礼説」は、「ご苦労様」があります。

この言葉は、以前は誰から誰に対しても使えるものでした。


たとえば、青空文庫の「小説 圓朝」には、次のような箇所があります。


「ア、師匠御苦労さまで」

 いままでシャーイシャーイと声を涸らしていた木戸の爺さんが肉づきのいい圓生の姿をみつけると、吃驚したようにこういった。


また、宮本百合子の「わが父」には次のようにあります。


可愛い、可愛いお父様。その言葉が思わず途切れ途切れに私の唇からほとばしった。どうも御苦労様でした、そういう感動が私の体じゅうを震わすのであったが、物々しい儀式の空気に制せられてそれは表現されなかった。


どちらも、現代ではこう言わないところですね。

また、「お疲れ様(です)」というのは青空文庫ではあまり出てきません。


この「ご苦労様」については、お年を召した方の中には日本語のアップデートが遅れていて、どんな場面でも「ご苦労様」を使うという人がいます。

お年寄りは立場が上であることが多いので、それがあまり問題にならないのですが、時には次のようなすれ違いが起こることもあります。

会社の守衛のじいさんが、「ご苦労様」って言ってくるんだが


派遣の警備員(60歳ぐらい)が派遣先の社長や社員に対して「ご苦労様」と言うことについて、このスレッドを立てた人は常識がないと怒っているのですが、その「常識」が変わったことになるので、気の毒な話です。

今の 40歳以下の世代なら、60歳で警備員になって派遣された先の社長が年下だったとしても、「ご苦労様です」とは言わない・言えないですよね。


今では、「ご苦労様」というとすっかり目下に対する言葉ということになってしまっています*3

個人的には、人をねぎらう際にまで目上や目下など考えるのは卑しいことのように思えるので、色のついてしまった「ご苦労様」は使わず、「お疲れ様です」「ありがとうございます」のように言っています。


「了解」は今後どうなっていくのか、目下向け専用の表現として生き残るのか、それともフォーマルな場から姿を消すのか。


個人的には、「あんまり面倒なことを言い出さないでほしいなぁ」程度に思っています。

辞書の権威に頼るのは好きではないのですが、たとえばデジタル大辞泉了解には、次のような解説があります。


「了解」には、相手の考えや事情をわかった上で、それを認める意がある。「暗黙の了解を得る」「お申し越しの件を了解しました」


今のところは、社内では同僚だけでなく上司に対しても「了解しました」「了解です」などを使っています。

どうも「承知」というのは使いにくいんですよね。

「承知しました」「承知いたしました」はまだしも、「承知です」とは言えないですし。


まあ、そう言っても「了解=失礼」ミームが広がってしまったらどうしようもないですね。

それでも、このミームがどうしようもなく広がるまでは、ささやかな抵抗として、できる限り「了解しました」等を使っていきたいと思っています。


*1:上の 2005年のものと同じところが編集しているのですが。

*2:1番目の意味に「男性が、親しい対等の者または目下の者に対して用いる。」とありますが、この用法は最近見聞きしないですね。

*3ビックカメラでは誰から誰に対しても「ご苦労様」と言うと聞きましたが、昔の用法を守っているということかもしれません。

gx9901dxgx9901dx 2014/02/09 20:03 昔、ビックカメラでバイトしてたとき「お疲れ様です」は、社員は「疲れてない」から、お疲れ様は使うな「ご苦労様」を使え。とか何とかわけのわからないことを言われましたよっと。

takeda25takeda25 2014/02/09 20:09 > gx9901dx様
そういう考え方だったんですね。知りませんでした。ありがとうございます。

aa 2014/02/09 20:34 > 社員は「疲れてない」から、お疲れ様は使うな
ワロタw

ThorinThorin 2014/02/09 20:40 私も普通に「了解」を使いますね。
上下関係に厳しい公務員の方々が「了解」を上司部下関係なく使っていますし。
無線用語なんておっしゃる方もおりますけど、takeda25さんが小説から引用したり考察した通り、通常会話で使われていることから、ありゃ完全に的外れです。

それにしても「了解」失礼説が2008年と結構最近なのには驚きましたね。

tasktask 2014/02/09 20:47 わたしの感覚や周辺での使われ方ですが、会社内などの内部の業務連絡では、「了解」はOKです。しかし、顧客との連絡などの外部との連絡では「了解」はNGです。

家庭内や、友人間でも積極的には使わないですね。

これは敬語とかの話ではなく、「了解」という言葉が素っ気ないと感じる言葉だからだろうね…。

enpitusinenpitusin 2014/02/09 20:59 目上の人にはなるべく了解しましたは言わないようにしてましたね。
かしこまりました。とかわかりました。と言ってます。

勉強になりました勉強になりました 2014/02/09 21:08 「承知しました」を使うのが社会人としての常識だと思っていました。

yy 2014/02/09 23:10 私もビックカメラで昔働いていましたが、「疲れてない」のは「社員は」じゃなく「社長は」だったかと思います。
社長が社員に「お疲れ様でした」と言われ、「いや疲れてないからお疲れ様はおかしい」ということで「ご苦労様」になったと聞きました。

akitsugiakitsugi 2014/02/09 23:35 「了解」ならいいんです。「りょーかい」がいかんのです。

kossetsukossetsu 2014/02/09 23:37 2005年の時点で「了解は失礼」という意見があったようです。→ 了解と承知の違いって?http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1476550.html

NAPORINNAPORIN 2014/02/10 00:22 http://q.hatena.ne.jp/1390338730
「まだしも」にも色がつきつつあるもよう。めんどうに見えるのはこちらが年くったからでしょうね。

naotaka25naotaka25 2014/02/10 00:45 「了解」は失礼って聞いてから、話す人がどう思っているかわからないので、一応控えるようにしています。
日本語ってややこしいなぁ。

polluxpollux 2014/02/10 00:54 拝承

polixpolix 2014/02/10 02:21 サラリーマンというのは、詰まるところ「周りがそう言っているから」で動く人種ですから。
グローバルもクソも無い訳です。ローカルの極み。

CossiegossieCossiegossie 2014/02/10 08:33 承知しました、の方が上から言ってる感あるように思える。

metabo-xmetabo-x 2014/02/10 09:23 状況によってというのもありますし、様々な言葉を使っている人たちから感じるのは、言う人にもよるな〜です。言霊でしょうか。

iwasutaiwasuta 2014/02/10 09:28 お疲れさまでしたといって失礼だと言われたことも…
働かせてやってるんだからありがとうございましたと言えと…

goe3goe3goe3goe3 2014/02/10 09:47 今までのマナーなら部下から上司は「承知しました」、上司から部下は「了解しました」。言葉は変わっていくが、僕は元の意味が逆転しない限り丁寧な言葉を使いたい。

hihi 2014/02/10 10:09 了解って短く言われるのは抵抗ないけど
承知って言われたら 軽薄でいいかげんな感じがして「イラッ」てする

児斗玉文章児斗玉文章 2014/02/10 12:29 それこそそのうち
「たべる」は給ぶの転訛で元々は店主から奉公人に振舞われた食事を頂くことだから、たべなさいは失礼に当たる!
とか言い出しかねませんね。

通りすがり通りすがり 2014/02/10 12:29 「了解が失礼だと広まった」というより「実は了解という言葉は〜という豆知識が広まった」って事ですよね。所詮知らなきゃ一緒だし、webで最近広まった知識知ってる意識が高い俺って… 悩むの馬鹿馬鹿しくありません?

SurgoSurgo 2014/02/10 14:55 "かしこまりました" を使えと教えこまれた

groundground 2014/02/10 20:25 ビジネスは意味不明なルールが多すぎて困ります。
「〜殿」が目下に使うだとか、「〜社様」などと御中という言葉忘れてない?とか

groundground 2014/02/10 20:25 ビジネスは意味不明なルールが多すぎて困ります。
「〜殿」が目下に使うだとか、「〜社様」などと御中という言葉忘れてない?とか

通りっぱなし通りっぱなし 2014/02/10 21:21 > gx9901dx様 > y様
おお、ご同輩w「疲れ」は悪くて「苦労」は良いのかと不思議に思ってましたねぇw

barnumkoukabarnumkouka 2014/02/10 22:18 「了解」という語を、“諒解(recognize)”と“領解(receive、受領)”に別けて考えてはどうでしょうか。

「了解」の本来の漢字表記は“諒解”なのですが、「諒」には「思いやる、察する、推し量る」の意味しかなく、“諒解”に「明確に承知する(ラジャー)」の意味は有りません。

一方で、現在の「了解」は“領解(ラジャー、レシーブ)”を意味する場合が多くなっています。これは通信用語に由来するのですが、この場合の人間関係は目上から目下の構図が基本です。そうなれば、上司に使うのは失礼という慣習が登場するのも不思議ではありません。「了解」のイメージとして、「暗黙の了解」ではなく「明確な了解」の方が増えてるのでしょう。

HAWKHAWK 2014/02/10 23:53 gx9901dxさんの「お疲れ様」は怒鳴られた場面をよく目にする。
私の環境が古いのかもしれないが・・。例えば、自分が仕事中で上司が外出先から帰社すると
「お疲れ様です。」と言う。しかし、自分が帰宅する際に「お疲れ様でした」と言うと
「これからもっと疲れるのや!」と怒鳴られる。その際は「お先に失礼します」と言うと
「ハイ、お疲れさん」と上司や残っている同僚に言われる。
「了解」は、ただ、「了解」と言わず、「何々の件了解しました」或いは「何々の件承知しました」とか「何々の件、分かりました」でも良いと思います。

言葉で変な使い方と思うのは「全然、大丈夫だから」(オイオイ、全然は否定文だぞ?と内心で
思っていますが・・)例外は「全然、問題が無い」(言い換えると「全く問題が無い」の同意語)
ですが・・。時代で言葉使いが変わると言いますが・・。

Mr.MayoonMr.Mayoon 2014/02/11 03:36 "全然は否定文"も戦後しばらく経った辺りからの話だとかどこかで読みました。
私も"全然"が入った肯定文を社会科の資料集で見つけた記憶から検索して、「韓国併合ニ関スル条約」第二条・第六条を確認しました。

全く、言葉というのは移ろうものですな。

MaverickMaverick 2014/02/11 04:04 言葉は生き物。時代で変わって当然なのではないでしょうか?

yukizokin yukizokin 2014/02/11 22:52 『ご苦労様』は上下関係というより、会社は仕事をするところであり、仕事とは上司が部下にさせるもので、部下が上司に『苦労』は掛けることはありえない、という組織の建前なんだろうと考えています。

yukizokinyukizokin 2014/02/11 22:58 自論ですが、「昨日1000円くれるといったでしょう?」に対して、「了解した覚えはない」は聴いたけど上げるとは言っていないの意味だし、「承知した覚えは無い」だと聴いた覚えは無いの意味になる。つまり、「納期に間に合わせろ」に対して「了解」と応えたら真に合わせる責任があるけど、「承知」だと聴きましたというだけ。納期に間に合わせる責任はあくまで上司にあるはずだから、部下が「了解」と応えるのは僭越だから失礼という解釈になるのかなと。失礼かどうかは別としてこの例から「承知しました」の方が仕事の場では都合が良いと最近思いました。

tobitobi 2014/02/14 12:57  はじめまして。
 現在某質問板でこのテーマを話し合っています。
 いろいろ調べた結果。
「了解(です)」はぶっきらぼうなので目上には×。
「了解(いた)しました」を×にする「論理的な理由」はないが、×とする声が多いので使わないほうが無難。

 くらいが結論になりそうです。
 詳しくは参照URLご参照ください。

CedarCedar 2014/02/14 16:39 相変らず敬語にウルサイ人が多すぎますね。特に上司と部下の間ではもっとザックバランな言葉遣いが認められても良いと考えます。そんな事よりも言葉は意味が正確に伝わる事こそが大切でその目的で言葉を選ぶべきでしょう。私には了解と承知はその意味・ニュアンスが完全に一致してはいないように思われます。了解は相手の言葉の意味を理解したという点に重点があり、承知は相手の要求を受け入れたという点に重点があるように理解しています。了解と了承では意味が違ってくるのではないでしょうか。これらの事では時々社内でトラブルの元になるのを見聞きした事があります。

ganetto48ganetto48 2014/02/15 12:27 バイト先での経験。
Nクロでは、相手から何かを言われたときは、従業員同士でも、お客様に対しても、「かしこまりました」と返事をするように指導されました。

チェーン店の売り上げデータを集計する事務所のときは、お店からの電話をとったら「お元気様です」と言えといわれた。「お疲れ様です」というのは、疲れているのが前提だから、という事でした(笑)

ぴーしー西谷ぴーしー西谷 2014/04/22 16:05 了解(おーけー)は同じ立場か目下へ
承知しました(いえす)は目上へ
そういうマナーのようです。無難に承知しました。を使えば良さそうですね

やっぱgoogle社員ってバカ以下だわやっぱgoogle社員ってバカ以下だわ 2014/06/29 14:47 こんなタコが40とか嘘でしょ…
表現がガキ過ぎる
こんなブログで悟ったこと書いてね~で
自分磨いたら?
障害者名乗ってるだけあるわー

使ってる方がバカに見える使ってる方がバカに見える 2014/08/08 15:02 根拠も示さずバカバカ言ってるのってダサいよなぁ。
端から人格しか攻めてないって、もうね…。

私がバカを使うときは「○○だから」(注:人格以外の根拠)と書いたうえでつかうよ。

ご苦労様万歳!ご苦労様万歳! 2014/10/01 20:13 「ご苦労様」の扱いに納得できず色々検索してこちらにやってまいりました。

「ご苦労様」って感謝の気持ちも入ったいい言葉なのにな。捏造マナーの所為でタブーの言葉にされてるのが口惜しい。

おっしゃる通り、昔の映画・TV・文学・伝統芸能と呼ばれるものの作品では上下関係なく普通に使われているし、そこで使われている言葉は本当に美しい。

ビジネス用語(業界用語)として浸透してしまえば従わざるを得ない部分はあるけれども、仕事以外でも立場の上下を気にしてピリピリするのはなんだかな〜と思う。

最近は、この言葉以外でも『マナー』を掲げて相手との上下関係をうるさく言うことが多くなったと感じる。本当に『良いマナー』を実践するなら相手の立場や気持ちを考えて良好な関係を築くことが大事だと思う。

明星くん明星くん 2015/11/25 08:06 僕も以前、指摘されました。
言葉使いには注意していたつもりだったのですが、
そのときは、自分の無知に落ち込みました。
しかし、了解=失礼、説って最近言われ始めたんですね。
なんだかホッとしました。

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