絶好調ロッテ、サヨナラ本塁打で示範競技終了
示範競技は21日で終了し、公式戦は3月27日に開幕する。
キア 7−2 LG (ソウル・蚕室)
(勝)ロペス 1勝1敗 (敗)ゴンザレス 1敗
(本塁打) キア : イ・ヒョンゴン 1号、キム・サンヒョン 4号、イ・ジョンボム 3号
キアは3回表LGの先発の新外国人ゴンザレスから9番イ・ヒョンゴンの本塁打で1点を先制し、6回表LGの2番手パク・ミョンファンから1番イ・ヨンギュ、2番キム・ウォンソプのタイムリーで2点を追加した。キアの先発のロペスは4回を無失点に抑え、LGは7回裏キアの2番手ヤン・ヒョンジョンから代打イ・テックンのタイムリーで1点を返した。キアは8回表4番キム・サンヒョンの本塁打で1点を追加し、LGはその裏キアの4番手クァク・チョンチョルの暴投で1点を返した。
キアは9回表LGの3番手チョン・ジェボクから代打イ・ジョンボム(元中日)の3ランでだめを押し、最後は守護神ユ・ドンフンが抑え、示範競技の試合で快勝した。主砲キム・サンヒョンが示範競技トップの4本塁打と開幕に向け調子を上げ、2009年最多勝(14勝)のロペス、左腕エースに成長したヤン・ヒョンジョンも安定した内容で、韓国シリーズ2連覇に向けて明るい好材料がそろった。打線ではイ・ヨンギュが3安打1打点と活躍。LGでは新外国人ゴンザレスも5回1失点と好投したが、復活が期待されるパク・ミョンファンは3回3失点と先発で起用するには不安の多い内容だった。
ハンファ 4−3 SK (仁川・文鶴)
(勝)チェ・ヨンピル 1勝1敗 (セーブ)マ・イリョン 1勝1S (敗)キム・ソンギュ 1敗
(本塁打) SK : パク・チェホン 2号
SKは1回裏ハンファの先発アン・ヨンミョンから3番パク・チェホンの2ランで先制し、先発の門倉(元読売)、2番手コ・ヒョジュンがそろって2回を無失点に抑えた。ハンファは6回表SKの3番手ソン・ウンボムから4番チェ・ジンヘンのタイムリーで1点を返し、SKは7回裏ハンファの3番手の新外国人デポーラから7番イム・フンの犠牲フライで1点を追加した。ハンファは8回表SKの5番手パク・ヒョンジュンから途中出場の1番キム・テワン、途中出場の2番イ・ヨサンのタイムリーで3−3の同点に追いつき、9回表SKの6番手パク・ヒョンジュンから相手の悪送球もあって1点を勝ち越し逆転した。
最後はネクセンから移籍してきた左腕マ・イリョンが抑え、ハンファが逆転勝ちし最下位に終わったものの示範競技の最終戦を逆転勝ちで、3連敗から脱出して終えた。先発アン・ヨンミョンが5回を2失点とまずまずの内容で、不安の多い投手陣で頼れる存在となりそうだ。キアからの王座奪回を狙うSKは、ソン・ウンボム、ベテラン捕手パク・キョンワンなど、怪我や故障で出遅れていた選手が出場し、開幕に向けて戦力に厚みが増しつつある。
トゥサン 6−7 ロッテ (釜山・社稷)
(勝)ホ・ジュンヒョク 1勝 (敗)ソン・ヨンフン 1敗
(本塁打) トゥサン : キム・ヒョンス 2号 ロッテ : カン・ミンホ 4号、ソン・アソプ 2号、ホン・ソンフン 1号、パク・チョンユン 2号、キム・ミンソン 1号
トゥサンは4回表ロッテの3番手の新外国人サドースキーから7番イ・ウォンソクの犠牲フライで1点を先制し、ロッテはその裏トゥサンの先発イ・ジェウから6番カン・ミンホの3ラン、7番ソン・アソプのソロ本塁打で4−1と逆転し、さらに6回裏トゥサンの2番手ホン・サンサムから5番ホン・ソンフンの本塁打で1点を追加した。トゥサンは8回表ロッテの6番手イ・ジョンフンから3番イ・ソンヨルのタイムリー、4番キム・ヒョンスの3ランで5−5の同点に追いつき、9回表7番手ホ・ジュンヒョクから途中出場の2番キム・ジェホのタイムリーで1点を勝ち越し逆転した。
ロッテは9回裏トゥサンの3番手ソン・ヨンフンから代打パク・チョンユン、途中出場の9番キム・ミンソンの2者連続本塁打で逆転サヨナラ勝ちし、好調だった示範競技を5本塁打の一発攻勢による勝利で終え、2009年から2年連続で首位となった。ロッテの先発は故障で調整が遅れていた中継ぎ左腕のカン・ヨンシクで、先発要員のサドースキーは2回から5回途中まで1失点と好投した。一方トゥサンは先発としてテストしたイ・ジェウが5回4失点と結果を残せず、2年目の若手ソン・ヨンフンも2本の本塁打を浴びサヨナラ負けを喫するなど、開幕を前に投手陣に大きな不安を残した。
ネクセン 4−6 サムソン (大邱)
(勝)キム・ヒョナム 1勝 (セーブ)ペク・チョンヒョン 2S (敗)マ・ジョンギル 2敗
サムソンは1回裏、ネクセンの先発クム・ミンチョルから5番チェ・テインの犠牲フライで1点を先制し、ネクセンは3回表サムソンの先発ク・ジャウンから2番クォン・ドヨン、4番ソン・ジマンのタイムリーで3−1と逆転した。サムソンは5回裏サムソンの2番手キム・サンスから3番パク・ソンミンのタイムリーで1点を返し、6回裏ネクセンの3番手マ・ジョンギルからチャンスを作ると、代わった4番手イ・ボグンから2番パク・ハニ、4番チェ・ヒョンウのタイムリーで6−3と逆転した。
ネクセンは9回表サムソンの5番手の大卒新人キム・ヒョヌからクォン・ドヨンのタイムリーで1点を返したが、最後は6番手ペク・チョンヒョンが抑え、サムソンが逆転勝利し3連勝で示範競技を終えた。サムソン打線では9番イ・ヨンウクが3安打と活躍し、クォン・オジュン、アン・ジマンなどの中継ぎが好投した。ネクセンではトゥサンから移籍してきた左腕クム・ミンチョルが4回を1失点と好投し、1番チョン・スソンが3安打と活躍した。
第7回 LGツインズ
キム・ジェバク監督のラストイヤーとなった2009年シーズンは7位に終わり、これで2002年韓国シリーズに進出して以降7年連続で5位以下でポストシーズン進出に失敗し、オフにパク・チョンフン新監督を迎えた。そして多額の金銭と無名選手2名と引き換えにヒーローズから大型外野手イ・テックンを獲得し、かつて主力として活躍したイ・ビョンギュ(元中日)が4年ぶりに日本から古巣へ復帰したが、主砲として活躍した外国人ペタジーニ(元読売)は再契約せず退団した。また課題の投手陣は、新外国人ゴンザレス、岡本(元埼玉西武)以外大きな補強はなかった。
【投手陣】
〈先発〉
△ポン・ジュングン、ゴンザレス、シム・スチャン、、チェ・ウォンホ、キム・グァンス、ハン・ヒィ
〈中継ぎ〉
イ・ドンヒョン、△オ・サンミン、△リュ・テッキョン、△イ・サンヨル、チョン・チャンホン、イ・ジェヨン、チョン・ジェボク、シン・ジョンナク
〈抑え〉
岡本
注 : △は左腕
2009年WBC(ワールドベースボールクラシック)で活躍し、チーム最多の11勝をあげたポン・ジュングンがエースの座についたが、春季キャンプ中の故障で出遅れ、示範競技の内容もあまりよくなかった。しかしチームの命運は韓国を代表する左腕にかかっているといっても過言ではない。右の先発としては新外国人ゴンザレス、シム・スチャンなどがあげられるが、あまり層は厚いとは言えない。
リリーフ陣は左右それなりに頭数がそろっているが、四球が多く安定感に欠ける投手が目立ち、2009年はなかなか必勝パターンを作れなかった。新戦力としてはヒーローズを自由契約になり移籍してきた左腕イ・サンヨル、期待の新人シン・ジョンナクがあげられる。また抑えは2009年イ・ジェヨンがチーム最多の11セーブをあげたが、ここ数年絶対的守護神の確立ができていない。そこで日本での経験が豊富な新外国人岡本を抑えに起用すると見られている。
【打撃陣】
〈ベストオーダー〉
1.イ・デヒョン(中) △
2.イ・テックン(左)
3.パク・ヨンテク(指)△
4.イ・ビョンギュ(背番号9)(右) △
5.イ・ジニョン(一) △
6.チョン・ソンフン(三)
7.パク・キョンス(二)
8.チョ・インソン(捕)
9.オ・ジファン(遊) △
〈控え〉
キム・テグン、チェ・ドンス、パク・ピョンホ、パク・ヨングン、パク・チョンホ、クォン・ヨングァン、キム・テワン、アン・チヨン、△イ・ビョンギュ(背番号24)
注 : △は左打者。
イ・テックン、イ・ビョンギュと2人の強力な外野手が加入したことにより、打線は迫力を増しペタジーニの穴を感じさせない。しかしすでに2009年の盗塁王イ・デヒョン、同じく首位打者パク・ヨンテク、韓国代表の常連のイ・ジニョンなど名のある外野手がそろっているため、余り気味である。反面セカンドやショートの層が薄く、2年目の若手オ・ジファンに期待がかかる。また控えに名前を挙げたが、右の若き大砲パク・ピョンホがレギュラーをとれば、比較的左打者に力のある打者が多いチームのバランスを取ることができる。
またこれまで正捕手だったが近年精彩を欠くチョ・インソンと、2009年シーズン終盤起用された20歳の若手捕手キム・テグンのポジション争いも面白い。
大物OBとして招聘したキム・ジェバク監督は、バントを多用する自らのスタイルをLGに合わせることはできなかった。2009年までトゥサンの2軍監督だったパク・チョンフン新監督は、1軍での采配は初となるが、これから若い選手を育てなくてはならないチームにとって、2軍での指導経験が長い監督の登場はチームに大きな変化をもたらすことが期待されている。ところが示範競技の結果を見てみると、開幕からしばらくの間は過去に実績のある選手を中心に起用していくと思われる。果たしてここ5年以上落胆ばかり味わっているかつての人気球団、LGのファンたちは久しぶりの「シンパラム(新風)野球」の勝利に酔うことができるのであろうか。
【本拠地】
ソウル・蚕室野球場
韓国最大級の野球場は、LGのみならずトゥサンの本拠地でもある。前身のMBC青龍の時代からソウルを本拠地としていることもあり、「ソウルの地元球団」というカラーを前面に押し出してきたのはLGのほうだと言えよう(トゥサンは前身のOBが1982年の発足時から84年まで、大田を本拠地としていた)。
試合中にもよく「ソウル賛歌」が流されるし、よく球場のアナウンサーが「ソウレー チャジョンシム(ソウルのプライド)!LGツインズ!」と高らかに叫ぶこともある。ただ、近年の成績低迷で上位進出が続くトゥサンに観客動員数で水をあけられるようになったため、今年こそ同じ蚕室のライバルのトゥサンに勝ちポストシーズンの舞台に立ちたいという気持ちは強まっていることだろう。ちなみに2009年、LGは公式戦7位、トゥサンは同3位だったが、直接対決では13勝6敗とLGが9年ぶりに勝ち越し意地を見せた。
ちなみにトゥサン−LG戦の際、どちらがホーム側でもLGが1塁側、トゥサンが3塁側のベンチやロッカーを使用する(応援席はどちらかの主催によって1塁側と3塁側が入れ替わるので要注意)。毎年5月5日の同カードは、ソウルの野球ファンを二分するダービーマッチということで大いに盛り上がり、球場全体が赤のLGファンと白のトゥサンファンに分かれ、他国のプロリーグの試合にはない独特の雰囲気となる。
また2009年から、LG主催試合のみ可動式で外野フェンスを最大5m程度前に押し出し、ここに打球が入ると本塁打となる「Xゾーン」を設置した。確かにLGのチーム本塁打数は増加したが、もともと投手力に不安のあるチームとしては、相手に本塁打を献上した本数も増えるなど、プロ野球の打高投低下に拍車をかけただけだった。
入場料はグリーン席(外野席)が7000ウォン、イエロー席(内野上段)が8000ウォン。なお内野下段は指定席制となり、レッド席は平日1万ウォン、土日・祝日は1万2000ウォン。ブルー席は平日1万2000ウォン、土日・祝日は1万5000ウォン。テーブル指定席は平日2万5000ウォン、土日・祝日は3万ウォン。ロティボーイ席(プレミアム席)は5万ウォン。
※ 3月21日現在の為替レート : 1万ウォンが約800円。
[交通アクセス]
ソウル地下鉄2号線・総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、5番出口徒歩0分。
ソウル駅、鍾路(チョンノ)、明洞(ミョンドン)などソウルの中心街からは、地下鉄2号線などで約40分。ソウル・江南(カンナム)地区の繁華街からは地下鉄2号線で10分前後。
(第3回 トゥサンベアーズ編も参照〉
(文責 : ふるりん)