わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

難問奇問が解ける授業

昨日の読売新聞朝刊(13版25面(くらし 教育))に,インタビュー形式で,全国学力テストを含め教育施策に関する興味深い記事が載っていました.まだサイトには上がっていないようなので,主要部を打ち込みました.
見出しは「学力テスト 抽出方式は愚挙」.「変わる?教育」と題するシリーズの1番目です.
発言者は,兵庫教育大学長の梶田叡一さん68歳.『中央教育協議会副会長として,教員養成や学習指導要領の見直しにかかわってきた.全国学力テストの分析・活用専門家会議座長も務める.』というプロフィールも書かれていました.署名記事となっており,末尾の「(中西茂)」が記者(聞き手)と思われます.

鳩山内閣は教育政策を大きく転換する.厳しい財政状況の中,学力低下や格差は改善するのか.新政策の課題をシリーズで問う.
(略)
――全国学力テストは抽出調査に変わる.
「全員対象」には,一人ひとりの生活とも結びつけた指導や,ゆとり教育の見直し,知識だけでなく総合的思考力をといったメッセージを込めていた.ひと昔前なら,難問,奇問とされた問題が解けるような授業が必要だということ.抽出では,そういったメッセージが伝わらない.抽出方式への転換はある種の愚挙.希望自治体では全員が受けられる方法を考えたい.
――全員対象は自治体でという考え方もある.
確かに問題意識の高い所は全員対象のテストをしているが,国として自治体間の差を放置していいのか.ずっと続けるべきだとは思わないが,もう何年か続けて,後は市町村でお願いする方法もあった.

カジュアルなツッコミをメイクァリスト*1してみると:

  • 「ひと昔前なら,難問,奇問とされた問題が解ける」ことを見るためのテストではないし,文書化*2も通知もなされていない.
  • 問題が解ければいいのか? 隠された正解や題意を引き出せれば,それでいいというテストや授業・教育でいいのか?
  • 採点結果(正解・不正解)をどう活用するのか? 誰がどんな結果を知ることができ,どのように活用できる(ようになってほしい)か,座長として見通しはあるのか?
  • 正解率が他の学級,他の学校,他の自治体より低いという結果になったとき,それがどういう意味を持つのか? 他の要因を考えないまま,短絡的に指導力不足に結びつけられてしまわないか?
  • 「何年か続けて」とあるが,何年実施すればどのようなことが明らかにできそうかという,目的を立てずに実施しているのか?

新聞紙面という限られた字数の中で,詳しい説明ができなかった,という可能性もあります.そこで,梶田叡一氏について,ちとぐぐってみました.

*3これらを読んだところで,氏の教育観が分からなくなりました.柱となるような,この方の考えを,見つけることができません.
とはいえこれは,1問や数問の出題で児童生徒の能力が測れないのと同様に,この程度の分量では読み取れなかったと考えるべきでしょう.もうしばらくヲチして,再度何か書いたら,後は当雑記の読者にお任せすることにします.
Amazonを見てみると,『教育評価 (有斐閣双書)』というのが目に留まりました.「在庫あり」だったので,注文しました.有斐閣の本を買うのは,もしかしたら学生以来かもしれません.

*1:リストアップする=make a list

*2:平成21年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領のp.2,『(イ)出題内容は…』のところが最も関連しそうだけど,どう読んでも無理.

*3:ここと次の段落は,リリース直後に書き換えました.