京都第一日目

地下鉄鞍馬口駅で降りて道を訊ねながら相国寺へ。

境内にある承天閣美術館に向かう。肥後松井家の名品というテーマで茶道具は茶道資料館で能装束はこの承天閣でということなので手早く2か所回ってお昼を食べてから国際会館にと軽く考え、実は余り期待していなかった。京都賞講演会は午後だから少し早めに行って時間つぶしだなぁぐらいに思っていた。ところがところが、入ってすぐの展示で目を奪われてしまった。お殿様と側室の紙入れ、化粧道具入れ、煙草入れ、印籠のすばらしい細工---ため息が出るほど。帰りに思わず2100円もする図録を買ってしまった。その中から梨子地山吹流水文様蒔絵印籠の説明文を書き写してみる。

「印籠は携帯用の薬入れで武士が上下を着る際、必ず腰に下げたもの。容器は三段から五段に分かれ、紐(緒)には「緒締」と呼ばれる玉を通し、紐の先端には帯にはさむ際の根付をつける。本品は五段で水辺に咲く山吹を高蒔絵で表す。しなやかな山吹の姿、四角に切った金の薄板を密に張り付けた土坡(どは:もりあがったところ)、流麗な曲線で表された水の流れなど、対照的な三つの要素が効果的に配置され、緊密な空間を生み出している。緒締は象牙に六匹の鼠を掘り出したもの、根付は方位磁針である。文様表出の精緻さと意匠や材質の奇抜さが印籠の魅力である」

この根付がそれぞれ凝っていて枝珊瑚に金の蟹がよじのぼっていたり、象牙で猿回しと猿が彫ってあったり、福禄寿であったり、見ていて飽きない。

煙草入れの前金具などもハチの巣に蜂が止まっていたり、蕪であったり、鳳凰であったり、琴を弾く女性であったり、しめ縄をはった桶に柄杓であったり、細かい細工にほれぼれ。。。

宮本武蔵の絵を表装した掛け軸も展示されていた。家に帰ってつれあいに話すと知らんかったん?とばかにされたがとても完成度が高い絵である。宮本武蔵って絵がうまかったんですね。。。

能面もよくはわからないが小面、孫次郎、増女、泥眼、痩女、山姥と種類があり、顔にかかる髪の毛の本数も違っていたり、口角があがったりさがったり、年齢をよくあらわしている。

というようにみていったらあっという間に時間がたって、茶道資料館は明日に回すことにした。


鞍馬口駅に戻るのに道を間違えたおかげで、持って行っていた本(おひとり京都の愉しみ:光文社新書)に乗っていた食堂「淡海」に行くことができた。
外見は普通の、何の変哲もない食堂、しかもずいぶん年取った老夫婦でやっておられて奥さんは腰が曲がってお茶をもってくるのもおぼつかない感じであるのに、注文したうどんのおいしさは絶品だった。ホントに満足した。

13:00から講演会。
先端科学部門の受賞者はジョン・ワーナー・カーン博士。合金を試行錯誤ではなくねらった物性を持つものにつくる材料組織形成理論を打ち立てた人。基礎科学部門はラシッド・アリエビッチ・スニヤエフ博士。近年、精密科学のレベルに達した観測的宇宙論を支える理論への貢献に対しての受賞。

すみません、どちらも睡魔に襲われ、途中から意識が---ただ、同時通訳する人の能力の高さは感じ取れました。

最後は思想・芸術部門、坂東玉三郎氏。よくわかるお話でした(!当たり前やろ)明日は彼のワークショップがあります。実際に踊ったりして説明されるらしい。。。この人と私は同学年ということがわかった。

司会はNHKの町村さん、さすが上手だった。