◉「短歌の世界」コーナー 三十六歌人
石川啄木
友がみな我よりえらく見ゆる日よ花を買い来て妻としたしむ
『一握の砂』
(作者紹介)
- 1886(明治19)年岩手県南岩手郡日戸村(現・盛岡市玉山区日戸)の曹洞宗日照山常光寺の住職であった石川一禎(父)、工藤カツ(母)の長子として誕生。
- 1913(明治45)年4月13日、家族や友人の若山牧水に見守られながら、肺結核のため亡くなられました。
(背景)
啄木満24歳の歌です。友人・知人の様々な活躍の噂を聞くたびに、啄木は志を得ない自分の境遇を悲しく思いました。そして……。
(解釈)
作歌は1910(明治43)年10月。
肩の張らない啄木の自然の姿が見えていて、親しめる。こういう時の思いを表すに短歌は最も適当な形式であって、そのことがまた啄木を悲しませて、……。
群馬県立土屋文明記念文学館
────────────────────────────────────