第9地区(ニール・ブロムカンプ)

池袋シネマ・ロサ

DISTRICT 9  アメリカ映画

監督・脚本:ニール・ブロムカンプ

脚本:テリー・タッチェル

出演:シャールト・コプリー

撮影:トレント・オパロック

音楽:クリントン・ショーター

製作: ピーター・ジャクソン キャロリン・カニンガム

http://d-9.gaga.ne.jp/

配給:ワーナー・ブラザーズ ギャガ

☆☆☆☆

難民化したエイリアンという設定で、差別などを新鮮かつシニカルに描いて、アカデミー賞にノミネートしたりで話題だったSF映画

観る前何となく「こういう映画は綺麗なシネコンで観るよりは、少し地味な映画館で友人と観るのが良いかなあ」と思い、友人を誘って池袋シネマ・ロサに観に行った。

確かに「観たことない」ような映画だった。しかも、特に後半は観る前に持っていた印象とは違った、ある種の正統派映画だった。

監督はこれが長編デビュー作となるニール・ブロムカンプ監督で、製作には「ラブリーボーン」がやや今一つな印象を受けたピーター・ジャクソン氏が名を連ねる。主演はクリスチャン・ベール氏とスティーブ・カレル氏を足して2で割った感じだなあ、とか思ったシャールト・コプリー氏。

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この映画を観ると、斬新な映画ながら人によって様々な映画やアニメが思い出されるだろうけど、やはり僕が思い出すのはポール・ヴァーホーヴェン監督「スターシップ・トゥルーパーズ」や「ガンダム」あたりのロボット系アニメだ。

ただ「スターシップ・トゥルーパーズ」と一番印象が違ったのは、ちょっとした滑稽なやりとりが効いているのと、大胆且つ大味な点が逆に魅力だった「スターシップ・トゥルーパーズ」より、後ろのほうでエイリアンが跳ねていたりするのがイチイチ可笑しかったりするような、画面の細部までこだわってるところだと思う。あと、「第9地区」にはあの映画ほどの変態的な匂いは感じなかった。

ウンコがどうのこうのという場面で、そんな方向には走らないでいいだろうと一瞬だけ冷めかけるけれど、作品時間が短いことを含めて本当に最後まで楽しく観れた。

細かいところに結構突っ込みたくなる個所も無いことは無いけど、それで話が弾んでしまうことを含めて突っ込むのは野暮だろうなあ。

それにしても造形も見事で、「エビ」と呼ばれるエイリアンのチビのほうが可愛いのには参った。

エイリアンの姿勢や動きが時折チンパンジーっぽく見えたのは僕だけか。

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しかも主人公が対峙するエイリアンが一番硬派でカッコイイんだからなあ。もうここに至っては笑うに笑えない。

ただ、実はちょっと難点を挙げたくもなる。「おもしろすぎる」のだ。

一緒に観た友人とも声を揃えて言ってしまったのだが、本当に最初から観たことないような画や展開の連続に加えて映画的記憶まで掘り起こされるという連続なんで、終盤がなんだか普通のアクション映画に見えてやや物足りなさを覚えてしまうのだ。

「欲を言えば」な話になるけど、終盤に決定的な何かが欲しかった。同じように最初からおもしろすぎる展開ながら最後にあの長回しの名場面も用意する「愛のむきだし」のような。あんな感じの。

とはいえこれは「欲を言えば」な話。おもしろい見応えある映画でした。

追記

つまらないギャグを言うつもりではなく本当なんだけど、この映画を観た後帰宅したらその日の晩飯のおかずとして用意されていたのが、「第9地区を観た」なんて一言も言ってないのに、エビフライだった。

それと観終わった後友人と声を揃えて言ったのが、「CMにエビちゃんが出るべきだよね」。僕だけじゃなくて友人も言ったんだけど。

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