乗車日記

自転車ときのこ

シーア派イスラーム 神話と歴史 読了

イスラム教シーア派とはなにかを、その成立過程、歴史的経緯、信仰の内容等から詳しく記述した本。スンニ派のことも良くは知らないのに読むのはどうかとは思ったが、なかなかに分かり易かった。
 ムハンマドが没した後の指導者として、指導者の霊性を重視し、ムハンマドの甥のアリーを選び、その系統に連なる人(イマーム)を代々指導者として崇拝してきた人々がシーア派ということらしい。
 これに対して、信者共同体の多数意志で指導者を選ぶというやり方をとってウマイヤ朝、アッバース朝を認めた多数派がスンニ派につながっていったということ。
 シーア派は初期のスンニ派王朝からひどく弾圧されていて殉教あるいは暗殺された場合も多く、イマームは12代目で終っているが、最後のイマームは隠れているだけで、いつか再臨し不正を正すと信じられているとのこと。
 知らない事ばかりだったが、特に興味深かったことは、4代目イマームの母がササーン朝ペルシャの最後の王女と信じられているという点。普遍宗教ではあるがアラブ人が始めたイスラム教とイラン人の民族感情と間にうまく折り合いをつけているようだ。
 これまで東ローマや十字軍との関連からイスラームについて読むことが多かったが、この本を読んで自分にあまりに知識がないことに驚いた。もう少し突っ込んで知っておく必要がある。