「THE BEE」 北九州芸術劇場中劇場

teru10162012-06-10

13時〜 7500円 NODA・MAP 番外公演 
本公演と番外公演の違いがわかっていない。 尺が75分。 番外だから? 2007年の再演ということだ。 実は野田作品は野田マップ以前のものをDVDでしか観ていない。 とにかくセリフが多くて速くて、何を言ってるのかよくわからない、という印象だった。 しかしその絶大なる人気ぶりには驚いたものだ。 小さくて声の高いおじさん、というイメージの野田秀樹はとんでもない天才なんだな〜 今回の舞台を観て納得した。 発想は9.11アメリ同時多発テロ、原作は筒井康隆の「毟りあい」、キャストには宮沢りえ池田成志近藤良平という超メジャーな役者さんを揃えているので、そちら方面からの客もかなりいるのだろう。 
普通のサラリーマン井戸は自分の家に立てこもり妻と子供を人質にしている小古呂を説得しているうちに何かのスイッチが入り、小古呂の妻と子供のところへ行き、彼らを人質として立てこもる。 それから丁々発止のやりとりが始まるのだが。。。 その駆け引きは最初はどなりあいだったものが静かで恐ろしいものと変わっていく。 時々現れる蜂は何の象徴なのだろうか。。。
野田秀樹は井戸役のみだが、あとの3人は数役を回す。 前半にはちょっとした笑いも含まれていてリアルな日常という部分も醸し出していたが、だんだんと狂気の世界へ移行していく。 舞台には大きなクリップでぶら下げられた紙(和紙かな?)これをスクリーンにしたり、ドアや窓にしたり、床まで折り曲げられた部分は隠れたり、破って切った指を包んだり(こわっ)  実際には指でなく鉛筆なのだけど、ぽきっという音が生々しく響いた。 小古呂の妻を抱き、起きて洗顔、食事をして子供の指を落とし、それを警部に渡す。 息を飲んで展開を見守っていたが、最後は・・・
演劇の多くがそうなのだけど、さあ、考えなさいよ。 と投げられるのが面白くもあり、難しくもある。 役者さんの上手さだけに見惚れていたら、課題を突きつけられて終了。 すごく感動した、観て良かった。  特に生りえちゃんは以前激痩せの映像を観ていたので、適度な丸みと色気を帯びた女優さんになっていて、なんだかほっとした。 綺麗だったな〜〜 上手だったな〜〜 また野田地図が来てくれたらうれしい。 蛇足であるが、野田秀樹の出生地は私の出身島の橋続きの島だった、びっくりしたけどなんだかうれしかった。 長崎県西海市崎戸町、長いこと行ってないな。

「Crime and Punishment(罪と罰)」 FUCA

16時〜 3000円 M.M.S.T  
原作:ドフトエフスキー 構成・演出:百瀬友秀
 小倉での「THE BEE」が思ったより短かったので、新幹線で帰って平尾のFUCAに向かう。 実はちらしを見てなくてノーチェックだったのだが、ツイッターで高崎さんからの情報を受け取る。 わわ、柿を辞めたコロさんが出るではないか。 新幹線、地下鉄、電車の接続もスムーズで、こんなときは都会で良かったと切に思う(笑) しかも予約していた友人と一緒に入ったらどさくさに紛れて前売り値段で買えた。 ラッキー♪ 出演は4人、萬浪大輔、コロ、豊田可奈子、大崎美穂。 コロさん以外は初見。 あ、もしかしたらM.M.S.Tの公演で観ていたかもしれないけど。 前回見たとき(たぶん創作コンペティション)はあまり印象に残っていない。 会場はうちっぱなしの倉庫のような感じ。 客席もビールケースのようなものに座布団を敷いたものや、木製のベンチ。 舞台の天井には穴???  屋根裏部分が見える・・・ 
金貸しの老婆アリョーナを殺してしまったラスコーリニコフ、傲慢な考えを持っていたのが、妹ドゥーニャの結婚や、娼婦のソーニャに出会って変わっていく。 昔読んでいたと思っていたのだが、こんなにシンプルな構成だったかよく覚えていない。  検索してみたら山のように登場人物がいるではないか、ではこの作品はぎゅぎゅぎゅーーっと凝縮されていたものだったんだ。 それにしても役者さんが全て骨太。 いや、体型はみな細いのだけど、濃いというか怖いというか。 腰の曲がったアリョーナが目の前にいる。 あらぬ方向を観ているその目や汗やヨダレをだらだらさせながらしゃべる言葉は小説以上のインパクトを与える。 大崎さんってすごい。 ドゥーニャの迫力もこのかわいい豊田さんから発せられると驚く。 なんとなくコロさんがドゥーニャのイメージがあったのだけど、実は清楚な娼婦ソーニャ役。 可愛いな〜コロさんは。 そして唯一の男性は萬浪さんはセクシー。 4人とも照明のせいもあるのだろうが、ものすごい汗。 まるで格闘技のようにくんずほぐれつの演技や発声に圧倒された。 アフタートークに百瀬さんと高崎さん。 これまたラッキーにもM.M.S.Tの稽古環境やこのシリーズのきっかけなどを聞く。 奈良にアトリエを持っているM.M.S.T。 稽古が24時間できると喜々と語る。 「罪と罰」のおもしろさより百瀬さんの脚本や小屋全体の効果に惹かれた。 コロさんは柿喰う客では行き違いがあったようだが、いろんな可能性を持ってる女優さんだと思った。 またどこかで会えたらいいな。