近江の玩具

 昨日は、徳島で見れない映画を見る会(連れ合いが加入しているが、水戸にいる娘の所に行っているので、私が代理した)主催の映画「クレアモントホテル」を見た。作品の紹介では「ロンドンの古い街かどで孤独な老婦人と青年が出会う。ふたりの睦まじい交流の日々、夫人は思い出をつむぎ、若者は人生を知る。静かな感動が心を満たす珠玉の作品」とあったが、確かに静かでしっとりとした映画であった。
 そのあと、守大助さんを支援する徳島の会の役員会と懇親会に参加した。
 「近江の玩具」では滋賀県の郷土玩具を含めたおもちゃの紹介をしている。滋賀の郷土玩具の双璧は、何と言っても大津絵と小幡人形につきるが、廃絶したものも含めて丹念に調べている。
 滋賀県関係の本で書棚あったのは、「近江の土偶(でこ) 小幡人形」・「五個荘町文化財Ⅶ 小幡人形」・「近江の絵馬」(大津市歴史博物館)「大津絵の世界」(大津市歴史博物館)。後の2点は展覧会用の図録で丁寧な解説がある。
 「近江の玩具」ではコレクターの地道な苦労があって、玩具の面白さを後世に伝えられてきているのが理解される。滋賀県出身の元総理の宇野宗佑が2万点ものコレクションを持っていたことを本書で初めて知った。政治のなかで苦労している時、人形を見ることで心がいやされたのであろうか。そういえば共産党不破哲三も伏見人形のコレクターだと言うから、難しい政治論議の合間に2人の間では人形談議でも交わされることがあったかと想像すると、可愛らしい気もしないではない。「おもちゃのやかた遊遊館」「近江商人屋敷 あきんど大正館」「近江商人博物館」「中仙道守山宿郷土人形館」などで、本書に紹介された人形たちが待っているので、訪ねてみたいと思う。


 下の写真は、浅草の手拭屋「ふじ屋」がデザインした大津絵の手拭「鬼三味線」(続平成てぬぐいあわせ 明治書院に収録されている)を額縁に入れ廊下にかざったもの


俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
  ○海人の捨て船 寄る辺も知らで 独り涙に 伏し沈む
  ○宇治の橋守 あはれと人は いはで年経ふ 袖の色
  ○逢ふも別れも みな糸に捻(よ)る 涙貫け 形見にも