ボルト、ぶっちぎって2連覇 加速抜群、9

東京電力は10日、福島第一原発事故の損害賠償で、千葉県の太平洋沿岸16市町村の観光業が受けた風評被害を賠償対象に加えることを決め、請求の受け付けを始めた. 東電はこれまで観光業の賠償対象を、政府の指針に基づいて福島、茨城、栃木、群馬の4県に限定. その他の地域は、外国人宿泊客が減った分の賠償だけを認めていた. しかし、海水浴客などが大きく減った千葉県からも賠償を求める声が強く、対象を広げた. 賠償基準は4県と同じ. 減収の原因は、原発事故以外の地震津波の影響もあるとして、実際の減収額から一定割合を差し引いて賠償額を決める. 差し引く割合は「昨年の3~5月分の20%」か「昨年の3~8月分の10%」を選択でき、それ以降は減収分の全額が対象となる. 問い合わせは東電の福島原子力補償相談室(0120・926・404)へ. 第10日、陸上男子100メートル 決勝】 陸上男子100メートルで、世界記録保持者のボルトが世界中の期待に応えた. 50メートル付近でトップに立つと、抜群の加速力でライバルを寄せ付けない. 9秒63の五輪新を記録、2位に0秒12差をつけた. ゴール後はトラックにキスをした後、おなじみの弓を引くポーズを披露した. この種目の2連覇は、1984年ロサンゼルス大会~88年ソウル大会のカール・ルイス(米)以来. 「これで伝説に一歩近づいた」とボルト. 9日(日本時間10日午前5時ごろ)に決勝がある200メートルで、2大会連続の2種目制覇を目指す. (小田邦彦) ■すべての暗雲を演出に ボルト劇場、次は200 スタートの直前、8万人の静寂が訪れた. スタートを告げるピストルが鳴る. 41歩で繰り広げられるボルトのショーが幕を開けた. 196センチの体を必死に曲げ、足をすらすようなスタート. 序盤は5番手あたり. 体が起きていくとともに加速する. ほぼ最高速に近いスピードがでる50メートル手前でトップに並び、すぐにみんなを抜き去った. 史上最速の25歳の最高速についていけるものなどいない. 力を増す腕振り、伸びるストライドで全てを置き去りにする. 途中、レースを映す大画面を見やり、歩幅が3メートル近くになる最後の一歩とともに、体を投げ出した. 「素晴らしい五輪だ」. 4年前のような踊る走りではなくても、地鳴りのような歓声が彼を包んだ. 注目されたのがスタートだった. 昨年の世界選手権はフライングで失格. 「あれでいろんなことを学んだ」というボルトは「スタートはもともとよくないから気にしなかった」と開き直った. 0秒165の反応時間は北京の時と同じ. 8人中5番目だった. 直前に足と背中を故障した. それが一因となり、1カ月前にチームメートのブレークに100メートルも200メートルも敗れた、その後、治療に専念していた. 「致命的なものにならなかった」 決勝のメンバーは、ブレーク、前世界記録保持者パウエル、世界歴代2位のゲイら、現在の最強スプリンターたち. 2連覇という偉業に向けて立ちこめた数々の暗雲. すべてを演出に変えた. 「まだ喜ばないよ. 200メートルが終わってないんだ」 そう、ボルトという名の劇場は始まったばかりだ. (小田邦彦) ■ボルトはやはり強かった 沸く競技場、ライバルも脱帽 「ウサイン・ボルト」は、やはり強かった. 8万人収容のロンドンの五輪スタジアムは、「伝説」を目指す男の走りに釘付けになった. 敗れたライバルたちも、群を抜くその速さに称賛を送った. 5日、夜9時50分. 大観衆が静まりかえった. 8人の大男たちが身を沈める. フィールドで男子ハンマー投げ決勝の競技を続けていた室伏広治選手も、動きを止めてスタートラインを見つめた. 8人のうち、ジャマイカからはボルト選手ら3人、米国から世界歴代2位のタイムを持つタイソン・ゲイ選手らやはり3人. 短距離界のライバル2国の精鋭たちが勢ぞろいした. 7レーンのボルト選手は、スタートでやや出遅れた. 観衆が沈黙を破って、どっと沸く. 50メートルでボルト選手がトップに立つと、客席は悲鳴のような声援に包まれた. 9秒63. 3年前の世界選手権で出した9秒58の世界新には及ばなかったものの、4年前の北京五輪の9秒69を上回る五輪新で、2連覇に花を添えた. ライバルたちは潔かった. 6月のジャマイカ選手権でボルト選手を倒した後輩のヨハン・ブレーク選手は2位. 「彼は世界一速い男で、俺は銀メダルを得た. それ以上何が聞きたい? 」と話した. 「ボルトの次の、世界で2番目に速い男になれたのは誇らしいよ」 ゲイ選手は4位に沈んだ. 悔しくて泣いた. 「追いつこうとしても無理だった. もう一度走っても同じ結果になるだろう」と敗北を受け入れた. 7位に終わったトリニダード・トバゴリチャード・トンプソン選手は、「世界中が今夜、彼が無敵であることを再認識したと思う」. ボルト選手は「レースに集中できた. 観客の雰囲気が最高だった」. 余裕の表情で、振り返った. (平井隆介). 韓国政府関係者によると北朝鮮が28日午後、短距離ミサイル2発を朝鮮半島西側の黄海に向けて発射した. 飛距離はいずれも100キロ以内で、通常訓練の一環とみられるが、米韓両軍が29日に実施した合同上陸訓練への牽制(けんせい)の可能性もあるという. (ソウル).