こないだのLUKAFES & 4thの感想

東京女子流
基本的に僕が好きなタイプのアーバンで粋な音楽というのは、もうアイドル業界にしかなかったりするんだよな。日本のミュージックシーンが死んでから10年近く経ちますが、僕の耳がベストを求めて彷徨い最後たどり着く先はこういうユートピアだったりする。だから何も恥じゃない。
女子流ちゃんの音楽は土臭さがない。そこがいい。ライブだと歌唱のねっちょりも落ちて、理想的な塩梅になる。とても良かった。個人的にはダンスせんでもよくないかって思った。せっかくなら歌に集中するとよりよく伝わるのになぁなんて思った。踊ると前髪が顔にかかって勿体無いんじゃないの。遠目から見るとそんなにルックスも悪くないし、ぜひ頑張ってね。応援してます。
...そんでそんで。
実は気になって、東京女子流の全ディスコグラフィーに触れてみました。意外と数が多くないので問題ない。
っていうか、これが理想的なフェス参加民のあるべき姿じゃね。今までそんなに知らなかったアーティストをフェスで見てちょっと好きになって気になって、家に帰ってから色々聴いてみるっていう。
まず、EDMに手は出さなくていい。根本として日本人はああいう音楽は好きではない。モーニング娘。とかPerfumeとか、あそこらへんは本人達が好かれているだけで、決して音楽そのものが独立して評価されているわけではない。別に音楽として劣っているわけではなく、よっぽどそこらへんのアーティスト気取りのへなちょこ歌手よりもミュージシャンシップを持っている感じもするけど、だからといってEDMが今みんなの好きな音楽ジャンルであるとは絶対にならない。
それはBABYMETALもそうだと思う。聴いたこと無いけど。
基本的な構造として、アイドルが好きっていうのは世間では若干恥ずかしいことなんだけど、そんなファンの方々の気持ちを慮ったのか、アイドルの方々がハイエンドな音楽をやることで「こんな良い曲があるんだぞ」と世間に顔向けできるようになっているんだと思ってます。曲が良いから応援してるんだと、音楽を精神的な拠り所として日々彼女達を応援してるっていうところもけっこうあるんじゃないか。
女子流ちゃんに話を戻しますと。5thのバラつき具合は不安というかよろしくないよな。軸がブレていて、ダメ。
じゃあファーストの頃に戻るかっていうとそれは不可能な話だよ。もう大人だしね。
あの頃の輝きをっていう人も多いみたいだが、あれは一回ぽっきりのエバーグリーンな瞬間だから。むしろアーリーティーネイジの記録が残っていることに感謝すべき。あの瞬間の煌めきが永遠に刻まれていることに感謝すべき。

『鼓動の秘密』は名盤。瑞々しいガールズポップにアーバンなアレンジを施した色鮮やかな逸品。たいして知らないくせにFolderを思い出した。みなさんFolderって知ってますかね?あの三浦大知を擁していたグループ… っていうより今やあの満島ひかりを擁していたグループと言った方が盛り上がるのかもしれませんが、あの人達の奔放な弾け方を感じた。ぶっちゃけ"パラシューター"しか知らないんだけど。

女子流さんはだんだん大味で簡単な音楽へと流れて行っている気がするんだけど、それじゃあ何の意味もないから、またできればセカンドの頃のような複雑でオシャレなアシッドジャズとかシティポップスをやってほしいのよ。作るのが難しいのはわかるけど、だからこそ価値があると思うんだ。
Negiccoはやっぱり土臭いし、Juice=Juiceは(主に高木の歌声が)ハロプロ的な鈍臭さがあって伸びてこない。
こういうこと言うとアレだけど、小西彩乃の歌い方はハロプロっぽくて、女子流のアーバンな在り方にそぐわなかったと思うから、彼女の卒業はチャンスだと思うのよ正しい道に戻るための。

アイドル業界の慣例として、どうしても演歌的にしゃくりあげるような歌い方をすると上手いと思ってもらえるっていう間違った考え方が蔓延しているんだよな。でもそうじゃなくて、こねくりまわしたりせず素直にまっすぐ歌う方がスマートで洗練されているんだよと、みんな目を覚ましてほしい。
そして、東京女子流には可能性があるから、頑張って。



ライムベリー
MIRIさんの地声が実に魅力的。あのちょっとザラっとした喉が、実にヒップホップらしい。ライブだと少し平凡な響きになってて残念ではあるんですけど、きっとCDだと素晴らしいんじゃないかなんて思った。フロウも多彩、同時並行のDJイングも安定で、こりゃ拍手モン。どれだけ凄まじいことをやってたか、わかる人はぜひ絶賛してください。
MISAKIさんも良かった。今までの女性MCで言うと、HALCALIとかPUFFYのような脱力系か、あるいはEAST END & YURIのYURIみたいな下手なヤツか、このどっちかだった。でもこのMISAKIさんはいずれにもあてはまらない、言うなればあざとい系だった。これは盲点。海外の場合はFoxy BrownとかLady Of RageとかLil KimとかEveみたいな逞しい系か、TrinaとかNicki Minajみたいなそっけないセクシー系か、だいたいこの二つ。MISAKIさんの場合ホントあざとくて、いかにも日本女性の中に一定割合存在するようなキャラなんですけど、嫌われるような陰湿さなどなく、もっと爽やかであっけらかんとした潔さがあって、強いアイデンティティ。MIRIさんとの対比という意味でも価値がある。それでいてリズムはタイトに刻めてたりするから、ヒップホップとして問題は何もない。サイドキックを聴けば、二人の感覚は確かなものであるとわかるよ。
トラックはKick The Can Crew的なところ、いわゆるモラトリアム系といいますか、その焦燥感をベースとしたメランコリックな感じがメインだった。まぁそういうプロダクションが彼女たちの好みだとすればかまへんのやけど、やっぱり僕はRip Slymeが好きだし、Kanye Westが好きだったりするような人間なんで、もうちょっとカラフルなタイプのビートがあってもいいと思うよ。ファットでソウルフルなサンプリングループの曲とかあると面白そうだけど、お金かかるからね仕方ないね。Fuck Marvin's Family。やっぱりヒップホップって無限大。せっかくの縁よ。オレら共同体だ一歩でも前進もう。頑張ってね。



橋本楓
みんな厚底で天高くそびえ立つ中、ぺったんこな靴で控えめに佇みながら健気に笑うかえぴょんの愛らしさが、もう形容しようのないほど爆発しまくっていた。贔屓目に言って、今世界で一番可愛い女の子。もう現在進行形でスパークしてて美しく咲き誇っている我らが楓さん。マイクを向けられ口を開けば天性のユーモア、別に口を開かなくてもキュンキュンに可愛いなんて、もう完全勝利にも程がある。
お身体気をつけて、頑張ってね。未来はその手の中に。



遠藤舞
歌手なんだから、声が大事。
やっぱりすごい。こんな歌声の人、いない。
新譜は3つとも期待以上のクオリティ。やっと正しい道に乗った感がある。待ってましたよ待ちくたびれましたよ。そしてあのフリートーク。言うまでもないんだけど、やっぱりこの人は天才だった。切り出し方は豪快で漢気に溢れ、そこから決して投げっぱなしにせず、丁寧に楽しく幸せに結んでみせるオチの鮮やかさ。自然体に涼しげにハイライトを作ってしまう感じが懐かしくて胸が熱い。愛され系。愛し愛され系。


横山ルリカ
楽曲について思うところはありません。White Diaryのサビの展開はaikoの初期の作風に近い印象を持った。


芝さん
初めて見るS氏はキリッとしてた。顔にだらしない様子は微塵もなく、いい顔だった。