醸造のための化学 1

tinybrewery2006-03-19




醸造のための化学

 醸造というのは でんぷん又は糖から 酵母菌のはたらきによって エタノール二酸化炭素を造ることです

 したがって でんぷんと糖に関する 知識が必要です

 久しぶりに 高等学校の化学の教科書で 「天然高分子」の勉強をしました

糖類(炭水化物)
 いずれも CnH2mOm で表されます
 糖類は 単糖類 二糖類 多糖類に 分類できます

単糖類
  グルコースブドウ糖) gulcose  C6H12O6

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    フルクトース(果糖)   fructose  C6H12O6

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二糖類
  スクロース(ショ糖)   sucrose  C12H22O11

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多糖類
  デンプン         starch   (C6H10O5)n

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・単糖類の グルコースブドウ糖)とフルクトース(果糖)は 分子式は同じですが 構造式が違います(異性体といいます)

・二糖類のスクロース(ショ糖)は グルコースとフルクトースが 結合した形です

・多糖類のデンプンは アミロースとアミロペクチン(どちらも グルコースが 鎖状につながった化合物)の混合物です

 以上は 糖類の一部ですが これだけ知っていれば 十分ですアルコールについて(追補) *1

 肝心のアルコールについて 説明を忘れていました

メタノール CH3OH  *2

 1つの炭素(C)に 1つのOHと 3つの水素(H)がついたものです

CH3-OH
  

 メタノールメチルアルコール)は 有毒です 絶対に飲んではいけません *3

エタノール C2H5OH  *4

 2つの炭素(C-C)に 1つのOHと 5つの水素(H)が 結合しています

C2H5-OH
  

 私たちが 酩酊のために飲んでいるのは エタノールエチルアルコール)です

 ワインつくりでは 器具の消毒用に エタノールを使います

 純粋なエタノールならば 器具に残っていても 問題ないわけです


・私たちが 食料にしている 穀物や果物の主な成分は 炭素の環に 水素(と酸素)がくっついたものです それで 「炭水化物」と言うわけです

・上に出てきた原子記の号は H(水素) 炭素(C) 酸素(O)の 3種類だけです

・これらの3つの原子の 重さは *5

 H 水素  1

 C 炭素 12

 O 酸素 16

 です これを覚えておくと あとの計算の役にたちます


・ワインのように 糖から造る酒では 酵母菌の働きで 

糖 → エタノール + 二酸化炭素
 

・ビールのような デンプンを原料とする酒は 

デンプン → (鎖を切る) → 糖

  そのあとで 酵母菌のはたらきで 
糖 → エタノール + 二酸化炭素

 写真は 昨日のおり引きの様子です


*1: アルコール: アルコールというのは 1つの物質の名前ではなくて いくつもの物質の総称です 液体のもの 固体のもの 有害なもの 酩酊するものなど いろいろあります

*2: メタノール: メチルアルコールとも言います

*3: メタノール: 名前が似ているので注意してください!!

*4: エタノール: エチルアルコールとも言います

*5: 重さ: 水素を1としたときの 相対的な重さです