犬の散歩

犬の散歩を一日に一回はやりたい。やってあげたい



しかし、いまだ超繁忙期の浜茶に、週五回の三線教室。そのわずかな時間にわが子と遊ぶのに一生懸命な私には

愛犬とのんびりお散歩などとゆうのは夢のまた夢の現実にやれないこともないけどまぁ無理だろう夢。のような話である



そこで、私は考えた。



従来の散歩をより効率的に開発した独自の散歩システム「短期持久集中型散車」を採用することにより

これまでの1/3〜1/2の時間短縮に成功。時間のない私でも気軽に愛犬との時間を楽しめるようになった




内容は至ってシンプル。



散歩を徒歩ではなく自転車に乗って走る。



ひたすら全力で走り、もう走りまくる。



十五分も走って帰ってくるころには、ヘロヘロでもって



あの散歩大好きな犬に散歩なんてもうこりごりだぜとまんまと思わせるわけである




唯一欠点をあげるとすれば、ヘロヘロのモモ(犬)の横でもう僕なんかもヘロヘロになってる 勿論。



なので、実をいうとこの散歩全く楽ではないのだがこれにはちゃんと訳がある

犬の散歩に行ける時間なんてのはもうそのほとんどが夜なわけで

自宅から奥武島までのさとうきび畑をリードもなしにフリーダムスタイルが

ここ玉城界隈での愛犬家のトレンド&コモンセンス略して「トレコモ」なわけだが



想像してみてほしい。

あなたは真夜中に人気のないさとうきび畑を自転車で走っている

少しの月明かりと遠く村の灯り

さとうきびがゆれる風の音に混じって聞こえてくる

アスファルトを蹴る人間ではないなにかの爪の音。。。

それが一定の距離を保ってずっとついて・・くる!?



・・・少しスピードを上げてみる


(ついてくる)


!?さらにスピードを上げる


(ついてくる)


なっ!!??さらに!!


(ツイテクル)


うおぅぉぉおおおおお!!!!


(憑いてくる!!)



とゆうわけである。なにも好きでこちとらこんな散歩をしているわけではないのである

もし、モモがなんか四つん這いの髪長い女になってたらどうしよう・・

と思ったが最後。爪の音に追いつかれることは俺の中で「死」なのだ




そして今日の話。


今日も順調に奥武の中腹あたりでモモからの追跡を逃れたところで

一安心して帰る途中、さとうきび畑の中で同じく帰路につくモモを見つけた


「アッ」


と思った瞬間、こちらの気配に気づいたモモが全速力でダッシュ!!

すぐにピンときた

奴は俺を追跡者だとオモイコンデル!!!

いざ!!!

正直かなり疲れていた。が、モモにはいい迷惑な話だが積年の恨みを果たす思いで

ギアを最速に入れて猛ダッシュ!!

モモよ先ほどの疲れはお前いったいどこにいったんだ

追われると全力で逃げたくなるのは恋も犬も全哺乳類共通らしい

深夜のさとうきび畑をあらん限りの奇声を発しながら

モモに威嚇し、今年一番頑張ったんじゃないかってぐらいおいかけた

しかし、これまでに見たことのない逃げっぷりで

彼女はきらめく夜空の流星のごとく遥か彼方家の方角に消えていった



負けた・・・。



高鳴る鼓動と謎の高揚感が体を包んでいる。空気はもうすっかり冷たくなっていた



うちに帰ると信じられないくらい息を切らしているモモが水蓮の池の水を飲んでいた

真剣に戦った人種と犬種を超えた何物にも言い難い絆がそこにはあった。たぶん



これからもよろしく