Hatena::ブログ(Diary)

あしもとに水色宇宙 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012.02.08.(Wednesday)

『Another』第5話のメモ 生きている者の描写


 コンテ/吉原正行、演出/許螬、作画監督/小島明日香。


 見崎鳴が、存在しているか、存在していないかが一応判明する面白い回だった。


 『Another』では、今まで鳴が生きている者か死んでいる者か、物語面・映像面の双方において、どちらでもとれるように描いてきた。

 例えば第5話でいうと、Aパート、教室で鳴に話しかける恒一のシーン。画面手前の男子生徒を利用して、画面奥の恒一の隣にいる鳴を巧妙に隠して存在しているかどうかを曖昧にする。男子生徒の裏にいるかもしれないし、いないのかもしれないという描き方。このように物語だけでなく、映像的にも見せていく。

f:id:tokigawa:20120208222233j:image:w380




 こんな具合に鳴の存在をあやふやにする描写を今まで数々してきたわけだが、ついに今回真実が判明する。


 そこで、ちょっと感動した描写がある。


 Bパート。鳴の正体が判明するシーン。「夜見のたそがれの、うつろなる蒼き瞳の。」が実は自宅だとわかり、いつも地下室の奥から出てきた理由も明かされる(布の奥にエレベーターがある)。


 恒一を自宅へと招き入れる鳴。ここで、僕が胸を打たれたのが、『鳴が飲み物を飲む』ということ。飲み物を飲む行為=食という行為が、人間としての「生」を強く感じさせる。今まで鳴が食事をとるシーンはなかったように思える。それは、鳴が死んでいる者なのか、生きている者なのか曖昧にするためなのだろう。死者は缶ジュースなんて飲まない(=死者は飲食しない)。鳴が生きている者だとわかった時にすかさず「飲む」という生きている者特有の行為をさせて、彼女は人間だと表現する。この描写が良いなと僕は思った。

f:id:tokigawa:20120208221929j:image:w380




 それと、鳴が存在している者とわかった途端に鳴の私服の半ズボン姿を披露させるのはなかなか。今まで、意図的に制服姿しかみせてこなかったが(幽霊と思わせるため)、私服姿を見せることによって、彼女の内側へと一歩足を踏み入れる。服装によって、幽霊と生者を描き分ける。

f:id:tokigawa:20120208221921j:image:w380




 鳴の人間っぽいというか、女の子っぽい描写も良かった。台詞の「特別に認めます」と体をくねってする仕草が素晴らしい。今までの人形的な素振りから一変して、普通の女の子としての鳴の素振り。良いです。

f:id:tokigawa:20120208221959j:image:w380




 「なんで・・鳴に似た人形があるんだ。これは一体・・・」と不気味に思わせておいて、実は自宅でした、この人形を作っているの親でした、というオチは思わず笑ってしまった。そりゃ、そうですよね。

f:id:tokigawa:20120208222025j:image:w380


 

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/tokigawa/20120208

2012.02.07.(Tuesday)

『輪廻のラグランジェ』第5話 上坪亮樹のメモ


 脚本/梅原英司・菅正太郎、コンテ・演出/上坪亮樹、作画監督/乘田拓茂・岡勇一・松村拓哉。


 第5話「鴨川に来た男」を視聴して色々と。



 Aパート冒頭。前の記事で書いた今やお約束になっている椅子を使った仮託。

f:id:tokigawa:20120207231206j:image:w350




 今回は、ランとまどかの椅子に挟まれるようにして中央にムギナミの椅子がある。ムギナミの椅子はひっくり返っており、上には鳥がとまっている。

 最初これを見たとき「これはどんな意味だろう」と思った。


 ひっくり返った椅子は、今回判明したムギナミの裏の顔を表しているのか。

 それとも、ラストのヴィラジュリオにやっつけられるムギナミを表しているのだろうか。ひっくり返った椅子=崩れ落ちたムギナミ、鳥=ヴィラジュリオ、ランとまどかの椅子=周りで見ていることしかできないランとまどか。

 うーん、どうなんだろう。

f:id:tokigawa:20120207231956j:image:w350




 印象的なレイアウトが結構あるなと思いながら視聴していた。途中の1ショットで「これは、上坪亮樹さんかな?」と思ったら、クレジットを見たらそうだった。XEBECだからあり得るなと思っていたけど、ロボットアニメを手掛けるのはちょっと意外。でも、今回ほとんどロボット出てきてないですが。

f:id:tokigawa:20120207231509j:image:w350




 その1ショットがこれ。校舎裏でのランとムギナミの会話シーン。「だから」という台詞の時のムギナミを捉えたショット。どっちかというと実写主義的であるラグランジにとっては、似つかわしくないショット。水玉模様と特徴的な色使い。シャフトっぽい感じ。これを見て、今回はいつもとは違うなと思った。


・・・・


 この仰角ショット+入射光も上坪さんっぽい。

f:id:tokigawa:20120207231315j:image:w350




 蛇口が画面いっぱいに出される印象的な構図のショット。

f:id:tokigawa:20120207231337j:image:w350




 これまた見ていてハッとするショット。これは、明るかった雰囲気からランとムギナミの真剣な話に変わるところの転換点になるショット。画面を占拠する影が、これから始まるムギナミとランの重たい会話を暗示する。

f:id:tokigawa:20120207231403j:image:w350




ランとムギナミの校舎裏での会話シーン。ここでも影を使って、ランとムギナミの重たい会話シーンを演出する。

f:id:tokigawa:20120207231429j:image:w350



 このシーンで急にカメラが微妙に揺れる。手持ちカメラ的な見せ方で、画面に臨場感を出す。これは、その後のヴィラジュリオとムギナミのシーンでも使われる。


 フェンスの金網を使用した印象的なショット。画面手前の金網の四角形が作る窮屈さ・狭小感が画面に緊張感を与える。その効果が対立するムギナミとランを盛り上げる。金網によって分断された二人は、敵同士で交わらない二人を表しているかのようだ。

f:id:tokigawa:20120207231440j:image:w350




 そして、金網を利用しての「おにいちゃん」のランのギャグ。こういう使い方もあるのかとちょっと驚く。




 ガラスに映し出す奇抜な構図。こうやって、三人の位置関係を表すのが面白い。

f:id:tokigawa:20120207231602j:image:w350




 Bパート。BWHでのヴィラジュリオとまどかたちの会話シーン。ここでの雲の流れを利用した画面効果。


 ヴィラジュリオの一言にショックを受けるムギナミを捉えたショット。雲の流れが加速して、ショックを受けたムギナミの心情を表す。

f:id:tokigawa:20120207231847j:image:w350




 ムギナミに対して想いをぶつけるまどか。雲は画面左から画面右に流れる、つまりまどかからムギナミへと流れる。雲の流れがムギナミに想いをぶつけるまどかという構図を映像的にも表してくれる。

f:id:tokigawa:20120207231730j:image:w350




 ヴィラジュリオがムギナミを責めたてるところでは、ヴィラジュリオからムギナミへと雲が流れる。

f:id:tokigawa:20120207231917j:image:w350



・・・・


 ラグランジェでどうやって上坪亮樹さんが自分のカラーを出すのかと思ったけど、作品の世界を壊さずうまい具合に出していてさすがでした。

 

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/tokigawa/20120207