虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ダニー・ザ・ドッグ」

toshi202005-07-01




公式ページ


 驚いた。


 いや、映画自体は、「レオン」のシチュエーションをこねくり回して一丁あがりな脚本を映画化した、いつものベッソン印映画なのだが、驚いたのは、この映画のジェット・リーである。


 演技しているのである。「あの」ジェット・リーが、である。しかも、かなり巧みに。


 彼の演じるダニーは、あるヤクザのボスに犬として調教されてきた殺し屋。普段は従順だが、首輪を外され「殺せ」と言われると、リー・リンチェイ並のスピードで相手を撲殺する、という実に荒唐無稽な役なのだけれど、そんな無茶な役をジェット・リーは見事演技で体現してしまうのである。
 その「犬のダニー」が、盲目のピアノ調律師モーガン・フリーマンとその娘に出会うことで、人としての心を取り戻す、という「おなじみ」のベッソン節なのだけれど、その「頭5歳児」なダニーを、彼は嬉々として演じている。はっきり言っておこう。ジェット・リーの「頭5歳児」の演技は「アイ・アム・サム」のショーン・ペンよりはるかに巧い。盲目のピアニストを目をつぶって演じきってみせたモーガン・フリーマンとの演技対決においても、全然遜色ない存在感を見せるジェット・リー。荒唐無稽な設定を荒唐無稽な話でまとめたリュック・ベッソンの脚本に、監督のルイ・レテリエジェット・リー及び共演者たちは全力で取り組んでいる。その姿に、俺は感動した。
 俺は、役者としてのジェット・リーを見くびっていたのかもしれない、と思った。これほどまでにエモーショナルなジェット・リーを俺は知らない。


 いや、そもそもこの人はずっとこういう役を待ち望んでいたのかもしれない。今まで、何かと言えば困った様な顔で敵をなぎ倒してきたリンチェイである。だが、それはもしかしたら、役に忠実だっただけで、彼としては精一杯能面のような役を演じてきたのかもしれない。だが、こと本作に関して言えば、役者ジェット・リーはかつてない輝きを見せている。俺はこの人に一遍のセックス・アピールも感じたことが無かったのだが、本作ではピアノを弾きながら無邪気な笑顔を見せるジェット・リーに激しくときめいた。その位、ジェット・リーが素晴らしい。


 一度、格闘しないジェット・リーを存分に見てみたい。そんな気にさせる映画。そんな役者リンチェイの演技と、彼の新たな一面を引き出したルイ・レテリエ監督の手腕に★一個追加。(★★★+★)


住友商事がシネコン事業を拡大
ユナイテッド・シネマを通じて日本AMCシアターズを買収
   
http://www.sumitomocorp.co.jp/news/20050616_104640_joho.shtml


6/16の住友商事のプレスリリースなんだけど、m@stervisionさんのコラムで初めて知ったよ。AMCは撤退だそうな。イクスピアリシネコンは居心地は良かったいいシネコンでしたよ、ええ。